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米国:グアンタナモ:すでに5年!

2007年1月10日
国・地域:米国
トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
独立した審問も行われず、家族との連絡も許されない! これが米国のやり方なのか?

ハリド・アルオダ

考えてみてほしい。過去5年の間に、世界で最強の国である米国が冷酷な独裁者サダム・フセインを倒した。そしてサダム・フセインが2003年に政権を失うと、米軍は彼を逮捕し、裁判にかけ、有罪判決を下し、処刑した。

同じ5年間で、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世とロナルド・レーガン元米大統領、ヤーセル・アラファト元パレスチナ解放機構(PLO)議長も亡くなった。クウェートの人びとから敬愛されたシェイク・ジャビル・アルサバーハ首相も亡くなり、新たな皇太子と首相、議会が発足した。

この5年間で非常に多くのことが起きたが、2002年1月11日からグアンタナモ基地に拘禁されている私の息子、ファウジにとって時間は止まったままである。ファウジは、2メートル×2.5メートルの広さの部屋で生活している。しばしば独房に閉じ込められ、家族との連絡は一切許されない。米国の死刑囚でさえもっとましな待遇を受けている。ファウジの待遇は、彼と私たちの家族を回復不可能なほどにまで傷つけてきた。一体何のために?

私の家族が2002年始めにファウジが収容されたことについて知った時、私たちは長くとも数か月のうちに裁判が行われ、彼の無罪が証明されるだろうと楽観していた。どっちみち、米国人は正義を信じ、迅速に裁判を行い、虐待や異常な処罰を回避し、ゆえに有罪判決を受けるまでは無罪とされ、誰も法を超越しない。事実、これらのことはすべて米国憲法に列挙されており、米国の法制度の中に確立されているのだ。

しかし、迅速で公正な裁判は行われなかった。全く正反対だった。米国政府は、何年間も審問を行わなかった。ようやく審問を開いたと思ったら、審問官は拘禁している当局に連なっていた。民主主義の国でこのようなことがおこなわれたことなど今までなかった。なぜ、米国はこんなことをしているのか?

米国を信じ、私と家族は米国の裁判所に訴えた。ブッシュ政権は、すべての権力を使って私たちを妨害した。しかし、2年間米国の法制度と戦った後、米国の連邦裁判所によって外国籍の者が合法に収容されるかどうかを決定する権限は米国の裁判所が有するというラスル対ブッシュ判決が下され、この時、私たちは失った希望を取り戻した。

この裁判所の判決によって、私たちの米国への信頼が報われたようだった。しかし再び、ブッシュ政権は連邦裁判所を退けた。独立した裁判官による審問を行うのではなく、米政権が軍事法廷を設置し、その審問官は政府の人間だ。独立性も、適正手続きも、正義もない。

2006年6月、サダム・フセインがイラクで裁判にかけられている時、米連邦最高裁判所はブッシュ政権に対して再び判決を下し、ブッシュ政権が設立した軍事法廷に異議を申したてるグアンタナモ被拘禁者の申立を認めた。しかし3か月半後、米国議会は特別軍事法廷の設置法案を制定して、私たちの独立した裁判所で裁判をという要求を妨げた。この法案は、私の息子から、すべての被収容者の基本的権利である人身保護請求権を奪い、独立性がなく、迅速でもなく、弁護人を選ぶ権利がなく、不利な証拠を知る権利がなく、拷問によって得られた証拠を排除せず、釈放までの期間が明確にされない。これによって、家族との一切の連絡を認めないこの前例のない米国の無期限拘禁が続き、今や5周年を迎えようとしている。

父親として私は、息子から公正で迅速な裁判と家族との一切の連絡を奪う米国の制度に打撃を受けている。刑務所は快適な場所ではない。そのことは私も理解しているし、認めてもいる。しかし、私の息子と他のグアンタナモ被収容者は、有罪判決を受けた人びと以上に罰せられている。法的にあいまいでまったく不安定な状況におかれ、愛するものから完全に孤立させる、というようなやり方によって。これでは米国のやり方どころか、残虐で異常な刑罰の典型ではないか。

息子は、2001年にパキスタンやアフガニスタンの国境地帯へ行き、救援活動や貧しい人びとに対して援助や教育を行っていた立派で慈善心のある人間だ。2001年9月11日の自爆攻撃事件以降、息子はその地域から逃れ、クウェートの家族の下へ戻ってこようとした。その途中、パキスタンの賞金稼ぎに捕まり、すぐに米軍に手渡された。息子はこのような状況の犠牲者で米国の脅威ではない。私は、彼が起訴され独立した裁判所で裁判が行われれば、無罪判決を受け釈放されると信じている。

ブッシュ政権が私の息子を、米当局が「悪の中の悪」と呼ぶ危険人物であると信じるのならば、なぜ世界で最強の国の大統領は、米国の法制度に基づいて彼を独立した裁判所へ送ることを恐れるのだろうか? なぜ大統領は、殺人犯や強かん者、銀行強盗、ギャング、オクラホマ市の爆撃犯ティモシー・マクベイを十分裁くことができる独立した米国裁判所の前に彼が立つことを恐れるのだろうか?

米国の価値観と米国の司法制度に対する私の大きな信頼は残っている。しかし、5年間の失望によって、このような米国の価値観を支えるブッシュ政権への信頼は、もはやほとんどない。

グアンタナモ基地が設立されてから5年。私は、6年目を迎える前にグアンタナモに収容されている人びとに正義が実現することを願い、祈っている。私はアムネスティ・インターナショナルと、戦うことができない被収容者に代わって戦っている私たちを支えてくれている人びとに感謝する。

米国に神の祝福があらんことを。そして、グアンタナモに収容されている若者たちが裁判を受け、自由になれる日が来ることを祈っている。

アムネスティ発表国際ニュース
(2007年1月10日)
AI Index: AMR 51/009/2007

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