ナイジェリア:国際社会を欺く死刑に関する情報

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2007年12月17日
国・地域:ナイジェリア
トピック:死刑廃止
アムネスティ・インターナショナルは、本日、ナイジェリアで秘密裏の死刑執行が行われていることを暴露した。ナイジェリア政府は先ごろも、死刑の執行は「ここ何年も」行なわれていないと断言していた。

アムネスティは、最近2年間で少なくとも7人が死刑執行されたという証拠を公表したが、実際の執行数はもっと多いものと危惧される。処刑はすべて絞首刑だった。

処刑された7人は全員がカノ州の裁判所で有罪判決を受け、ジョス、カドゥナ、エヌグなど各地の刑務所に移送された。現在のカノ州知事マラム・イブラヒム・シェカラウがすべての死刑執行命令書に署名している。

「ナイジェリア政府は世界を欺いている。死刑執行の真実の記録を公開し、国内のすべての死刑執行をただちに停止し、なぜこのようなことが起こり得たのかを徹底的に調査すべきだ」と、アムネスティのアフリカ部長、アーウィン・ヴァン・デル・ボルトは述べた。
以下は、アムネスティが公表したケースの一部である。

2006年5月30日、カドゥナ中央刑務所でケネス・エホネとアウワル・ムサが絞首刑に処せられた。強盗・火器に関する法廷で裁判を受け有罪となったが、刑事手続全体を通じて弁護士はつかず、上訴の機会もなかった。アウワル・ムサは死ぬまで無実を主張していた。 2006年6月15日、サリス・バブガはカドゥナ刑務所からジョス刑務所に移送され、そこで絞首刑となった。

エヌグ刑務所では2006年に少なくとも4人が絞首刑となっている。

また、ポートハーコート刑務所でも少なくとも1件の死刑執行があったとアムネスティは考えている。処刑された人の名前と執行日を確認するため、アムネスティは現在も調査を続けている。 2007年11月15日、ナイジェリアの政府代表は国内の死刑について国連で次のように発言した。「最高裁への上訴を含め、法律に基づいた十分な裁判手続きを経た上で、刑罰が科されている」「ナイジェリアでは近年死刑は1件も執行されていないことは、そのようにはっきりと記録されている」。

「人間の生命を奪うというような重大な問題について、政府が偽りを述べることに、弁解の余地はない。ナイジェリア政府が故意に国際社会を欺こうとしていることに衝撃を受けている」。ヴァン・デル・ボルトはこのように語った。

背景情報
ナイジェリアには約700人の死刑囚がいると推定される。今まで、2002年以降は死刑が執行されていないと広く考えられてきた。死刑判決を受けてから10年以上も拘禁されている人が200人以上いる。中には25年以上も死刑囚監房に入っている人びともいる。 死刑囚の多くは、軍法に基づく強盗・火器に関する法廷で有罪判決を受け死刑を言い渡された。被告人に上訴の権利はない。1999年以降、州の高等裁判所への上訴権が復活したことになっているが、多くの場合、被拘禁者はこの権利について知らされておらず、あるいは弁護人がいないため、またはお金がないために、上訴を申し立てた例は1件もない。死刑判決を受けた直後に上訴の申し立てをしようとした人びともいたが、上訴審が開かれたことはない。被告人に弁護人がいなければ、その事件について、国が弁護人をつけなければならないはずである。

政府が設置した死刑に関する国家調査団は2004年に、「人の生命を奪う制度は、まず公正でなければならない」として、「ナイジェリアの刑事司法制度が死刑事件について基本的な公平性および適正な手続きを保証でき、冤罪の可能性を最小限にとどめることができるようになるまで」死刑の執行を停止するよう勧告した。

司法行政改革に関する大統領委員会(PCRAJ)は、2007年5月に上記の結論を繰り返し、「ナイジェリアの刑事司法制度が死刑事件について基本的な公平性と適切な手続きを保証できるようになるまで、正式に執行を停止するよう」求めた。PCRAJは、「連邦政府も州政府も、長きにわたって刑事司法制度に存在してきた問題点をもはや無視することはできない」と結論づけた。

国家調査団も大統領委員会も、死刑囚は「ほとんどが極貧状態にあり、弁護人がいない」ことを強調した。

自由権規約第14条5項には、「有罪判決を受けた人はすべて、法律に基づきその判決と刑罰を上級の裁判所で再審理される権利を有する」とある。

12月18日には、死刑の執行停止を求める決議を再確認するための採決が国連総会で行なわれる。この決議案は、11月15日に国連総会第3委員会で可決されたものである。

2007年12月17日

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