- 2019年12月13日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ナイジェリア
- トピック:
ナイジェリアの国民議会が現在審議を進める2つの法案は、いずれもインターネット上の表現の自由の規制や摘発を強化する狙いがあり、極めて憂慮される。
2つはヘイトスピーチ禁止法案とインターネット上の虚偽・改ざん情報禁止法(ソーシャルメディア法)案で、インターネットの遮断やソーシャルメディアの利用制限を恣意的に実施する権限を当局に与え、政府批判する者に対し3年以下の刑を科すものである。
記者やブロガーらは当局の監視や家宅捜索などの嫌がらせを受けている。サイバー犯罪法の導入により市民社会は窮屈になり、当局におそれを抱くようになっている。そんな中で、ソーシャルメディアは、市民が自由に意見を言える数少ない場である。
いずれの法案にも、国際法に抵触する規定が数多くある。
例えば、ヘイトスピーチ禁止法は、「罵りや脅迫などが伴う行為」を禁止するが、行為が何を指すかは、当局の恣意的な解釈にゆだねられる。その結果、反政府的な意見や議論などができなくなってしまう。
ソーシャルメディア法案は、適用範囲が過大な条項が多いため、ソーシャルメディアの利用を不当に制限し、表現の自由を抑圧しかねない。
例えば、虚偽情報の条項は、国安全保障や治安、国の経済、周辺国との関係に悪影響を与えそうなメッセージのシェアを禁止しているため、政策批判を封じる目的に乱用されやすい。
これらの法案が成立すると、表現の自由を行使しただけで犯罪者とみなされ、3年以下の刑と罰金を言い渡されてしまう。ヘイトスピーチ禁止法案では、違反者は終身刑または死刑を科されるおそれがある。
背景情報
ナイジェリア政府は最近、ソーシャルメディアの利用と共有される情報に制限を加える方針を表明した。
表現の自由の取り締まりに適用されてきたサイバー犯罪法とテロ禁止法には、今回の法案と同様の規定が既に入っている。
国際法や国際基準は、ヘイトスピーチの禁止の明確な法制化を義務付けている。しかし、その運用にあたっては、表現の自由を保障し、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)に準じて、必要性・相当性の原則の要件を満たすものでなくてはならない。
アムネスティ国際ニュース
2019年12月4日
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