ナイジェリア:ボコ・ハラムから逃れた女性たちに性的虐待

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2018年5月31日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ナイジェリア
トピック:

ナイジェリア北東のボルノ州の収容キャンプで、武装グループ、ボコ・ハラムの過酷な支配から逃れた数千人の女性が、軍と民兵組織による組織的な人権侵害を受けている。アムネスティの現地調査で分かった。

多数の女性が夫から引き離され、収容キャンプに入れられ、軍の兵士や民兵から強かんや性的搾取を受けきた。

軍は2015年、ボコ・ハラムが支配していた村落を奪還すると、村民を複数のキャンプに移動させた。命令に従わない村民を殺害することもあった。村民は、ふるいにかけられ、男性のグループ、女性のグループなどに分けられて別々のキャンプに入れられた。また、夫から引き離された女性は、残された家族の面倒をすべてみなければならなかった。

飢える女性の強かんと性的搾取

女性たちは兵士に武力で脅されて強かんされたり、飢えに苦しむ女性が弱みに付け込まれて性交相手となることを強いられた。

聞き取りをする中で、同じキャンプいた女性5人が、キャンプに入った後の短期間に強かんされたと証言した。

同じキャンプの別の10人は、兵士の性交相手をさせられたという。彼女たちの多くは、子どもや親族を食糧不足や病気で亡くしていた。窮地に陥った女性への性的搾取は、拡大するばかりだった。

性的搾取は組織的で、兵士がキャンプに来て性交相手を所望し、民兵が見栄えのいい女性や少女を選び、兵士に引き渡すというものだった。

飢えによる死

2015年から翌年半ばにかけて、各キャンプ内では深刻な食料不足に陥った。数千人が餓死したキャンプもあった。

聞き取りをした女性の中には、昨年半ばにキャンプに着いて以来、食料援助を一切受けられなかった人も多かった。背景には、国や支援団体からキャンプに食料が届けられても、関係者による横領や横流しが横行し、必要な人たちに物資が届かないという現実があった。

行動を起こす時

多数の支援団体が、キャンプ内の性的暴行などの虐待や不当な扱いを告発してきた。

政府は昨年8月、軍の人権義務の履行状況を検証する大統領調査委員会を設置した。委員会では多数の女性が証言し、検証結果は今年2月、ブハリ大統領に報告された。

大統領はこれまで、キャンプにいる人たちの人権を保護すると繰り返してきた。今こそその約束を果たす時だ。そのためには、すべての加害者を摘発して処罰し、人権を侵害しても罰せられないという風潮を排除するしかない。また各国の支援を受けながら、キャンプの人たちに十分な食料を提供し、飢餓から解放されるようにしなければならない。

アムネスティ国際ニュース
2018年5月24日

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