ナイジェリア:カルト集団による襲撃 住民が犠牲に

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2020年1月21日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ナイジェリア
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ナイジェリアの南部リバーズ州では、カルト集団同士が激しく覇権争いにしのぎを削る中、過激なカルト集団は、無関係な住民にも襲撃を繰り返しており、昨年1年間で60人以上の犠牲者を出した。

アムネスティは、同州の複数の地域で住民への聞き取りを実施したが、住民側の被害が深刻であるにもかかわらず、治安当局は、住民を武装集団から保護する手立てを取っていないことが明らかになった。また、加害者側は、誰一人、罪を問われることもなく、襲撃を繰り返し、収束する気配がない状況にあった。

住民の一人が証言した。「警察が、集団同士の衝突に出動することはほとんどなく、出動したとしても、衝突が終わった後だ。住民に死傷者が出ても、警察は捜査もしないどころか、何の罪もない住民を拘束する。道路を封鎖し、警官を立てるが、2週間もすると、封鎖を解き、警官もいなくなる。するとまた、武装集団が襲撃してくる」

カーナ地区の若手リーダーによると、襲撃や衝突の背景には、政治家が選挙を有利に展開しようと若者に武器を提供していることがあるという。

「有力な政治家が、過激な若者のカルト集団に武器を提供することがよくある」という証言もあった。「各政党が、別々の武装集団と癒着し、肩入れする集団が他の集団より劣勢だとみると武器をさらに差し出す。彼らにとって、選挙に勝つことがすべてであり、武器がどう使われているかにはまったく無関心だ」

カーナ地区では昨年4月からの半年間で、襲撃による住民の死者が少なくとも49人にのぼる。

その他の地域でも、死者が出ている。5月に20人が殺害されたコノボウ地区では、武装集団は、殺害、放火、略奪の限りを尽くす中、住民は、命からがら村を脱出し、その後、避難生活を余儀なくされている。

ボド地区の危機的状況

ゴカナ地方行政区域のボド地区の住民は、次のように語った。

「武装集団は、いつもこのあたりで活動している。連中が動き出すと、みんな自宅に逃げ込み、鍵をかける。連中の狙いは、住民ではなく、敵対する武装集団だが、一旦、銃を構えると、相手構わず引き金を引く」

8月の襲撃で3人が犠牲になったが、その一人は、環境活動家のバリベフェ・ボルヌさんだった。ボルヌさんは、シェル石油が、2008年に引き起こした石油流出事故に対する住民訴訟で中心的役割を果たした。長い裁判の末、企業に責任を認めさせ、賠償金を勝ち取り、汚染の除去で合意を得た。そのボルヌさんが、何の利害関係もない武装集団に、命乞いもむなしく射殺された。

ボドでは今年に入って襲撃がすでに3回あり、11人が殺害された。警察は、殺人事件が起こっても現場検証や捜査を一切しないという。加害者の拘束や補償を期待することもできない遺族には、埋葬費用だけがのしかかる。

治安当局は、襲撃事件を捜査し、加害者の罪を問い、犠牲者家族が十分な補償を受けられるようにしなければならない。また、地域の治安回復にも取り組むべきである。

背景情報

2018年3月、州政府は反カルト法を施行した。カルト活動による殺人には死刑が適用される。アムネスティは、例外なく死刑には反対するが、厳しい法律が制定されたにもかかわらず、カルト信仰が高まっている。

アムネスティ国際ニュース
2020年1月9日

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