南アフリカ:キャンプ閉鎖で危険にさらされる避難民

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2008年10月 7日
国・地域:南アフリカ
トピック:難民と移民
アムネスティ・インターナショナルは本日、5月に南アフリカで起きた外国人排斥暴動によって避難を余儀なくされた人びとの安全が、重大な脅威にさらされていると発表した。避難民に残された最後のキャンプが閉鎖されようとしている。また、彼らの庇護申請のほとんどは却下されている。

この警告は、ジュネーブで開催された国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)メンバー国の年次会合において、南アフリカ政府が暴動の余波への対応を十分に行っていると主張したことを受けて発せられたものである。

「南アフリカの代表団は、避難民の危機への対応を大幅に粉飾して報告した」と、避難民の暮らすキャンプを先月訪問したアムネスティの難民の権利に関する専門家であるルイーズ・ムーアは語った。

アムネスティは、十分な手続上の保護措置がとられた有効な庇護申請手続きへのアクセスが確立されていないことから、避難民を南アフリカから送還することを即時に中止するよう要請している。

「当局は、暴力の危険にさらされている避難民の安全な再統合の計画がないにも関わらず、避難民のキャンプを閉鎖しようとしている。そして担当官らは、国際法に反する著しく不備のある手続きによって、ほぼ全ての庇護申請を却下している」とルイーズ・ムーアは述べた。 

「避難民たちは南アフリカで危険にさらされているだけではなく、ソマリア、コンゴ民主共和国やジンバブエといった深刻な人権侵害の問題がある国々に強制送還される危険にも直面している。彼らには行くべき安全な場所がない」

アムネスティは南アフリカ政府に対し、5月の外国人排斥暴動によって避難を余儀なくされた人びとに対する義務を果たすよう要請し、またUNHCRに介入を求めている。

5月の暴動によって何千という人々が殴打、性的暴行、略奪や財産の破壊から逃れるために自らの家を後にした。

「5月の暴動による避難民が、当初は一時的な保護やキャンプでの基本的なサービスへのアクセスを得ていたのは事実であるが、現在はさらなる人権侵害の深刻な危険に直面している」と、ルイーズ・ムーアは語った。

南アフリカ内務省は、9月下旬にケープタウン地域のキャンプで、8月にはハウテン州のキャンプにて、手続上の保護措置を欠いた簡易的な庇護手続きを実施した。このような庇護手続きは、以下の内容により特徴付けられるとアムネスティは述べた。

 ・手続きに関する情報の欠如
 ・供述書作成における適切な通訳の欠如
 ・インタビュー手続きにおける守秘義務の不履行
 ・適切な法的助言の不在
 ・難民認定担当官の意思決定における事実誤認
 ・関連出身国情報の検討不足

「供述書作成の速度や、時に担当官から受けるひどい扱いにより、申請者の混乱や苦痛が増している」と、ムーアは述べた。


*編集者への注:
ケープタウンにおける庇護申請の却下率は、ハウテンに比べても高く、98%以上である。これらの庇護申請を却下された人びとには、ソマリア人、コンゴ民主共和国東部出身者、ジンバブエ人が含まれる。

地方当局は、避難民を地域コミュニティーに安全かつ永続的に再統合させるための、公にアクセス可能な政府計画を実施することなしに、避難民にとっての最後の場所であったハウテンのアカシアキャンプを月曜日に閉鎖した。

市民団体は、避難民の安全な帰還のために地元コミュニティーが役割を果たすよう取り組んでいるが、ハウテン州地方当局からの十分な支援や協力を得ていない。

国際機関から提供された財政援助は、避難民に安全な住居を提供し、永続的な帰還に必要とされる様々な条件を満たすには、全く不十分である。

南アフリカの地元コミュニティーに戻ろうとする避難民、とりわけソマリア人に向けられた暴力は続いている。警察は、このような行為が、外国人に向けられた一連の攻撃の一部であることを認めていない。

南アフリカでの外国人排斥暴動による避難民について、アムネスティが懸念することの詳細は以下を参照のこと。(英語のみ)
http://www.amnesty.org/en/library/info/AFR53/012/2008/en

アムネスティ発表国際ニュース
2008年10月7日

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