- 2020年2月18日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:南アフリカ
- トピック:企業の社会的責任
(C) Amnesty International
ケープタウンで開かれる世界最大級の鉱業投資会議で、鉱業会社と各国関係者らは、業界でまん延する人権侵害の問題を直視し、問題への対応を協議すべきである。
「マイニング・インダバ」と呼ばれる国際会議には、世界中から投資家や政府関係者らが集まり、アフリカの鉱業に関わる各種のテーマで議論が交わされる。
コンゴ民主共和国の児童労働問題から、南アフリカの鉱山労働者の劣悪な生活環境まで、鉱業の現場では、さまざまな人権侵害が存在する。
企業は、営利を追求する中で、しばしば人権侵害を引き起こしてきた。一方、アフリカ諸国は、巨大企業を前にその活動を規制するだけの力がなかった。
長い間、鉱業業界には、環境汚染、強制立ち退き、汚職、脱税、不透明な鉱業権取得、劣悪な労働環境など、数多の不正行為が横行してきた。これらの問題こそ、今回の国際会議で議論されるべきである。
アムネスティは、他の団体との共同調査により、鉱業界で数多くの人権侵害が行われてきた事実を把握している。
2012年に南アフリカの鉱山ストライキで、警察の介入で労働者34人が亡くなるという悲劇があったが、8年近くたった今も、犠牲者の補償の目処は立っていない。ストの発端は、この鉱山を開発する英国の白金鉱業大手が、政府と合意した労働者の賃上げや生活環境改善を放置していたことにあった。
モザンビークでは、村の一つが、中国系多国籍企業の開発による影響で洪水にのまれ、290人が家を失った。また、同社により、別の村が海に流されかねない事態となっているが、政府は、同社に何の規制もかけていない。
コンゴ民主共和国では、コバルトの採掘に関わる規制がないために、危険な手掘りや児童労働などの人権問題が常態化している。
今回の会議のテーマには、「デジタル化された鉱業経済に対する成長と投資の最適化」や「気候変動・脱炭酸化・持続可能性対策への取り組みにおける鉱業の役割」などがある。
人権尊重なくして、鉱業の成長と持続可能性はない。鉱業が影響を及ぼす気候変動で住民が被る災害は、モザンビークの事例に見たとおりである。
鉱業は、温室効果ガスの排出量が特に多いにも関わらず、議論は始まったばかりだ。今回の会議で、炭素排出量の削減に向けた決意の示し、そのタイムテーブルを示すべきである。
アムネスティは、各企業に対し直ちに温室効果ガスの排出を最小限にする措置を取るよう求める。企業には、温室問題を含め人権に悪影響を及ぼすおそれがある事態の想定と、その事態の防止策の立案、実施、国への報告が求められる。各国政府は、企業に対しこれらの対応を義務付ける法律を導入すべきである。
背景情報
企業や政府関係者が参加する国際会議が開催される期間中に、アムネスティをはじめとする市民団体は、企業の開発や運営をめぐる不正や労働者らの権利侵害の問題を議論する会議を独自に開催する。
アムネスティ国際ニュース
2020年2月3日
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