南アフリカ:外国人嫌悪を助長する政府

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2019年9月11日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:南アフリカ
トピック:難民と移民

南アフリカではこの数週間、移民、難民、庇護希望者への暴力が多発し、外国人が経営する店舗や事務所が略奪や放火される事態が続いている。

特にヨハネスブルグとプレトリアの2都市では、ナイジェリア人をはじめとする外国籍の人たちが経営する複数の事業所が狙われ、在庫や備品類など数百万ドル(数億円)相当が灰になった。

この1週間では、ヨハネスブルグなど各都市で地元住民と移民らの衝突で、確認されただけでも5人が死亡した。

当局は、こうした事態を予測できなかったわけではない。

移民、難民、庇護希望者は、何年にもわたり「外国人」として敵視されてきた。その背景には、恥知らずな政治家たちが、「外国人が仕事を奪っている」などの悪質な強弁を繰り返し、社会問題を取り上げてはその原因を移民らに転嫁し、移民らを格好のスケープゴートに仕立て上げてきたことがある。

2016年、ヨハネスブルグ市長は、「外国人が町を乗っ取り、犯罪を増やしている」と移民らを犯罪者呼ばわりしたし、昨年には、内務大臣が、医療費の負担増の矛先を移民らに向けた。

2008年、市民と移民らの衝突で、60人余りが亡くなった。移民らに対する大規模な排斥の始まりだった。政府がこの時、憎悪問題の根絶に向けて、加害者を処罰するなど適切な対応を取っていれば、事態は変わっていたはずである。

今日の事態は、移民、難民、庇護希望者に対する犯罪に手を打ってこなかった結果である。犯罪を放置してきたことで、移民ら弱者が、ますます無防備な状況に置かれている。さらに、政治家らが、犯罪の増加、社会保障費の負担増、違法ビジネスの横行などの原因を移民らに転嫁したことで、外国人嫌悪は深まり、衝突が激化した。

事態の収束に向けて、政治家や関係当局は、政治的理由で問題の矛先を移民らに向け、彼らの排撃に油を注ぐのはやめ、人権と法の支配が根付く国家を目指すべきである。

また、難民、庇護希望者、移民らの安全を保障する政策を実施し、襲撃問題に終止符を打たなければならない。そのためにはまず、過去の憎悪犯罪の容疑者を処罰し、再犯への道を断つことである。

アムネスティ国際ニュース
2019年9月4日

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