中国:ウイグル人庇護希望者の強制送還に関する公開書簡

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 中国:ウイグル人庇護希望者の強制送還に関する公開書簡
2009年12月25日
国・地域:中国
トピック:先住民族/少数民族
中華人民共和国外交部
楊 潔チ部長 殿

12月19日に貴国政府の要求に応じたカンボジア当局によって中華人民共和国に強制送還された2人の非常に幼い子どもを含む20人のウイグル人庇護希望者たちにつきまして、問題の緊急性に鑑み本書簡をお送りします。

この20人の名簿はこの手紙の最後に記しています。

2001年以降、強制的に中国に帰されたウイグル人庇護希望者または難民が、拘禁され、伝えられるところによれば拷問されていること、中には死刑判決を受け、実際に処刑された者もいることを、アムネスティ・インターナショナルは記録してきました。

アムネスティ・インターナショナルは、この20人の健康状態並びに安全に関する情報の提供を求めています。

また、私たちは中国当局が直ちに彼ら20人の所在を明らかにし、彼らの権利を完全に尊重することを要請します。

この20人は、明確な刑事犯罪で起訴されるのでなければ、解放されるべきです。

彼らの裁判は公正な裁判の国際基準を満たしたものであるべきで、いかなる状況下であっても死刑判決は避けられねばなりません。

私たちが懸念を高めているのは、中国当局がこれまでに、2009年7月の新疆ウイグル自治区での騒乱に関わったとして9人を処刑し、その他に8人に死刑判決を下しているためです。

アムネスティ・インターナショナルは貴国政府に対し、彼らが拷問またはその他の虐待を受けることなく、拘禁中に適切な医療を受けられることを保証するよう要請します。

拷問およびその他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰を禁止する条約(拷問等禁止条約)の締約国として、中国政府は拷問その他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いを完全に禁じる義務があります。これは国際慣習法の原則でもあります。

また、彼ら全員が速やかに家族や本人の選んだ弁護士と面会できるようにすることも重要です。

私たちが特に憂慮しているのは、この20人の中に非常に幼い子どもが2人いることです。

中国も締結国である子どもの権利条約の第2条2項には、「締約国は、子どもがその父母、法定保護者又は家族の構成員の地位、活動、表明した意見又は信念によるあらゆる形態の差別又は処罰から保護されることを確保するためのすべての適当な措置をとる」と記されています。

さらに、第37条(C)には、締結国が自由を奪われたすべての子どもをその年齢の者の必要を考慮した方法で取り扱うべきであると明示されています。

最後に、アムネスティ・インターナショナルは貴国政府が国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対し、この20人の安否確認のためのアクセスを即時に提供するよう要請します。

この書簡の写しは貴国司法部にもお送りしています。

貴殿からのご返事をお待ち申し上げます。何かご質問やご意見がございましたら、遠慮なくご連絡ください。

敬具

2009年12月22日

アムネスティ・インターナショナル
アジア太平洋部長
サム・ザリフィ

追記:
2009年12月19日、以下のウイグル人庇護希望者がカンボジアから中国へ強制送還されました。

アブドゥグヘニ・アブドゥカディール(Abdugheni Abdulkadir)とその家族

アブルカディール・シャヒダ(Abulkadir Shahida)
アブルカディール・ビラル(Abulkadir Bilal)
アブルカディール・マイムナ(Abulkadir Maymuna)
アブドゥグヘニ・ハリル(Abdugheni Halil)
アブドゥラ・カシム(Abdullah Kasim)
アリ・アフマト(Ali Ahmat)
アリ・ヌル(Ali Nur)
アマト・エリ(Amat Eli)
エブライム・マムト(Ebrayim Mamut)
ハジルティエリ・ウマル(Hazirtieli Umar)
イスラム・ウライム(Islam Urayim)
クバン・カンウル(Kuban Kanwul)
マフムト・ビラル(Mahmut Bilal)
ママト・アリ(Mamat Ali)
モハメド・ムサ(Mohammed Musa)
ムタリップ・マムト(Mutallip Mamut)
オマール・モハメド(Omar Mohammed)
ツニヤジ・アイカエバイエル・ジアング(Tuniyazi Aikaebaier Jiang)
ツリク・ムハメド(Turik Muhamed)

関連ニュースリリース