- 2010年2月25日
- 国・地域:大韓民国
- トピック:死刑廃止
憲法裁判所は、5対4で下された今回の判断において、死刑は韓国の憲法が保障する「人間の尊厳と価値」を侵害しないと述べた。
「これは韓国にとって大きな後退であり、10年以上処刑がないという、死刑廃止に向かっていた韓国国内の最近の流れに逆行するものである」と、アムネスティのアジア太平洋部副部長ロジーン・ライフは述べた。
アムネスティは、韓国を事実上の死刑廃止国であるとみなしている。韓国は、1998年2月に金大中が大統領に就任して以降、死刑を執行していない。金大中大統領自身、かつて、1980年に死刑判決を受けていた。しかし、死刑判決は依然として言い渡されており、現在も韓国には57人の死刑囚がいる。
最高刑を死刑にしないという国はますます増えつつある。世界で7割以上の国々が、死刑の執行停止や死刑廃止に踏み切っている。
「今回の判断にかかわらず、アムネスティは韓国政府に対し、事実上の廃止国という立場を維持し、法律上も死刑を完全に廃止するよう求める。死刑という問題についていかなる後退を示すことも、韓国の国際的評価に大きな傷を与えることになる。経済先進国として、韓国は、あらゆる人びとの生きる権利を全面的に尊重しているという、明確な例証を示すべきである」。ロジーン・ライフはそのように述べた。
アムネスティは、あらゆる死刑に反対する。死刑は、生きる権利の侵害であり、究極的な意味で残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰である。死刑は取り返しがつかない刑罰であり、無実の人間が処刑されるという危険が常にある。
さらに死刑は、本質的に恣意的な刑罰であり、貧困層や社会的に排除された人びと、マイノリティに属する人びとなどに対して、差別的に適用されている。
韓国憲法裁判所は、1988年9月に設立された。その役割としては、法律の合憲性の判断、政府機関の間の権限に関する争いの裁定、個人が申し立てた憲法上の請願の審理、弾劾に関する最終的な審理、そして政党の解散に関する判断がある。
アムネスティ発表国際ニュース
2010年2月25日
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