インドネシア:パプア州「拷問ビデオ」、独自調査が必要

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. インドネシア:パプア州「拷問ビデオ」、独自調査が必要
2010年11月 2日
国・地域:インドネシア
トピック:
10月19日、アムネスティ・インターナショナルは、過去2年間にわたってパプア州で起きた拷問およびその他の虐待の報告に対して、インドネシア政府は独立した調査を行うべきであると述べた。

10月第3週にインターネット上で公表されたビデオでは、パプアの人びとが蹴られ、身体的虐待を受けている様子が映されているが、いくつかの場面では制服姿の男たちが暴力をふるっている。

「このビデオの公表は、インドネシアでは拷問やその他の虐待がしばしばチェックも処罰もされないまま行われていることを再認識させる最新の事例です」と、アムネスティのアジア太平洋部副部長ドナ・ゲストは述べた。

「我々は治安部隊による拷問に関して、継続して定期的な報告を受けています。しかし、多くの場合、独自調査が行われることはなく、責任者が独立した法廷で追及されることはほとんどありません。」

人権団体が入手した最近の別の警察のビデオには、パプア州の政治活動家、ヤワン・ワイエニが腹部に重傷を負い、死を目前にしているにもかかわらず、警察官が助けもしない様子が収められていた。アムネスティの聞いたところによると、ヤワン・ワイエニは、パプア州ヤペン島の自宅で2009年8月に機動隊により逮捕された。

アムネスティはインドネシア政府に対し、調査を指揮する国家人権委員会を選任するように要請する。

また政府は被害者、証人やその家族たちの安全だけでなく、調査を実施する委員会メンバーの安全も保証すべきである。

アムネスティはインドネシア政府に対し、調査結果を公表し、関連がある場合はいつでも、被害者とその家族が閲覧できるようにすることを求めた。

「当局は、インドネシアのすべての治安部隊、とりわけパプア州の部隊に対して、『拷問やその他の虐待はいかなるときも厳しく禁止されており、もしも行われた場合には、全面的な犯罪捜査を開始する』ことをはっきりと、公式に通達しなければなりません」と、ドナ・ゲストは述べた。

2009年12月にアムネスティは、国家警察長官にパプア州ナビレでの警察による虐待の事例について詳細情報を提供するよう、書簡を送った。

2008年12月~2009年4月の間に、警察はデモ参加者に対して必要のない過度な武力行使を行い、少なくとも21人を負傷させた。警察はまた2009年1月~4月の間に、逮捕の最中ならびにその後、少なくとも17人に対して繰り返し、殴打もしくは他の虐待行為を行った。

アムネスティはまた、2009年4月~6月の間にパプア州で起きた2件の治安部隊による不法殺人について、信頼できる情報を得ている。

これまでにアムネスティは、書簡に対する文書による回答を得ておらず、これらの報告に対して、何かしらの独立・公平な調査が行われているとは認識していない。

背景情報

拷問等禁止条約 (UNCAT)の締約国として、インドネシアは、いかなる状況においても拷問およびその他の虐待を禁止する法的な義務がある。インドネシア憲法ならびに1999年の人権法も拷問を禁止している。しかし、インドネシアの刑法はまだUNCATならびに明確な制裁措置に合致する拷問の定義を取り入れていない。

アムネスティは、パプア州に小規模な反政府活動が存在し、インドネシア政府が同地の住民を保護する義務と責任があることは認識している。

しかし、国際法の下で、拷問およびその他の虐待は明確に禁止されている。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年10月19日
 

関連ニュースリリース