- 2018年11月10日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:インドネシア
- トピック:性的指向と性自認
インドネシア各地で、警察と風紀取締隊(自治体の取締部隊)によるLGBTIの人びとへの迫害が、増えている。この数カ月で、拘束され、屈辱的な扱いを受ける事態が、立て続けに起こった。
10月19日、西ジャワ州で、4000人が参加するゲイの人たち向けのフェイスブックグループを運営する男性2人が拘束され、その後、電子情報・取引法の公序良俗違反の容疑で起訴された。
10月末には、西スマトラ州西パサマン県で、恋人同士の女性2人が拘束された。同県では、トランスジェンダーの女性6人も拘束された。
県の風紀取締隊の責任者は、一連の拘束について「町からLGTBIを一掃する取り組みの一貫だ」と説明した。「この地域でLGTBIの人びとの居場所はない」と言い放ち、「LGBTIに対する軽微な制裁措置を認める県の条例がある」と拘束を正当化した。
ランプン州では、治安維持の名目でトランスジェンダーの3人が拘束された。拘束時、消防車のホースで水を浴びせられるという屈辱を味わった。この対応は、国際法が厳しく禁じる残酷、非人道的で品位を傷つける取り扱いに当たり、まったく許されるものではない。
直近では11月初旬、西スマトラ州の州都パダンで、女性が恋人の女性とキスをしている写真をフェイスブックに載せたところ、その女性を含む10人のレズビアンの女性が拘束された。投稿写真を見た住民の通報を受けて、風紀取締隊が動いたものだ。
住民によると、10人は地元の施設で「再教育プログラム」を受けることになるという。
LGTBIの人びとに対する一連の卑劣な対応は、即刻やめるべきだ。警察には、市民を守る義務がある。また、拘束に関わった風紀取締隊の隊員を取り調べ、罪に問うべきだ。
各地の風紀取締隊に対して、こうした対応を二度と取らないように指導する必要がある。さらに、LGTBIの人びとへの差別的な条例は、廃止するべきだ。
インドネシアでは多くの市民が、LGBTIの摘発を当然のことと受けとめているが、これも、深刻な問題だ。
国は、各地の自治体のLGBTIに対する弾圧に歯止めをかけ、自治体に対して、差別的な条例の廃止を命令すべきだ。警官には、LGBTIの人びとを守るよう指示するべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2018年11月6日
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