エジプト:警察に脅迫される、死亡した被拘禁者の遺族

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2011年1月24日
国・地域:エジプト
トピック:変革を求める中東・北アフリカ
アムネスティ・インターナショナルは1月11日、1月1日に起こったアレクサンドリア市のコプト教会爆破事件に関連して逮捕された後、拘禁中に拷問を受け死亡したとされている男性の遺族に対して治安警察が行っている嫌がらせおよび脅迫を止めさせるよう、エジプト政府に要求した。

サイイド・ビラル(Sayyed Bilal)は1月5日、国家治安調査庁(SSI)の職員によってアレクサンドリア市で拘禁され、その翌日には死亡していた。サイイド・ビラルの遺族は彼は拷問を受けて死亡したと主張し、アレクサンドリア市の検察官に訴えた。しかし訴えを起こして以来、遺族はSSI職員から、残りの親族も拘禁すると脅迫されているという。

「サイイド・ビラルの死、および伝えられている彼の遺族に対する脅迫は、極めて憂慮すべき出来事です。これらはまた、長期にわたり拷問を行っていると非難されてきたSSIが、引き続き違法行為を行っていることを示すものでもあります」とアムネスティ中東・北アフリカ部長マルコム・スマートは述べた。

「エジプト政府は即刻対策を講じ、遺族を保護し、サイイド・ビラルの死に対し独立した調査を実施することを保証するとともに、他の拘禁中の容疑者を拷問やその他の虐待から守る必要があります。」

また別の若者もサイイド・ビラルと同時期に、同じアレクサンドリア市の警察署で拘禁されている最中に姿を消したと言われている。検察官は1月10日、モハメド・イスマイル・マハムード (Mohamed Ismail Mahmoud) の所在を調査するよう命令した。彼もまたサイイド・ビラルと同日の1月5日にコプト教会爆破事件に関連してSSI職員に逮捕され、アル・ラバン警察署に拘禁されていた。

23名が亡くなった1月1日のアレクサンドリアのコプト教会爆破事件の後、アレクサンドリア市では容疑者が相次いで逮捕されたが、そのほとんどはサラフィストと呼ばれる正統派イスラム教の信者であった。人数は不明だが、彼らは外部との連絡を絶たれた状態で拘禁されており、深刻な拷問の危険にさらされている。

サイイド・ビラルは、コプト教会爆撃事件に関する情報を所持しているとの疑いで逮捕された。彼は、アル・ラビン警察署に拘禁されたとき32才で、健康体であったと伝えられている。 

翌日の1月6日、アル・ラバン警察署近くのゼキリ医療センター(Zeqileh Medical Centre)からサイイド・ビラルの親族に電話があったと言われている。遺族が病院に到着したときには彼は死亡しており、遺体には拷問の痕跡と遺族が主張する多くの傷が残されていた。

サイイド・ビラルの遺族は、訴えを起こし、メディアに対して口を開いて以来、SSI職員から何度も脅迫を受けている。

遺族はSSIに二度召喚されており、サイイドの兄弟、あるいは遺族の他の誰かを拘禁すると脅迫されていると言われている。遺族は、すでに拘禁命令の準備は整っており、いつでも執行する用意があることを通告されているという。

遺族を人権活動家やジャーナリストと会わせないように、家の周辺には私服警官が配置されている。その結果、遺族は代理人となる弁護士を雇ったり、検察官事務所を訪れることをためらっていると言われている。

「このような嫌がらせや脅迫は止めさせなければなりません。それも今すぐにです」とマルコム・スマートは述べた。「元気で健康であったと言われていた男性が、どうして逮捕後数時間以内に死亡したのか。エジプト政府はあらゆる手段を講じて、その真相を究明しなければなりません。」

伝えられるところによると、検察官が調査の開始および検死解剖の実施を命令した。検死解剖は行われたものの、その結果はまだ明らかにされていない。

「このようなケースでは、当局が迅速に行動して死因を調査し、法医学的な証拠を含む関係するあらゆる証拠を収集することが極めて重要なのです」とマルコム・スマートは述べた。「サイイド・ビラルが拷問を受けて死亡したのであれば、関与した者は法の裁きを受けなければなりません。過去に何度もSSI職員は免責を与えられてきたようですが、そのようにすべきではないのです。」

アムネスティ発表国際ニュース
2011年1月11日

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