- 2011年6月 6日
- 国・地域:エジプト
- トピック:変革を求める中東・北アフリカ
エジプト軍高官はCNNに対し、3月9日にカイロのタハリール広場で拘束された女性たちが処女検査を強制されていたことを告白した。以前、政府はこの事実を否定していた。
匿名で告白した軍高官は、「拘束された女性らはみなさんや私の娘のような女性とは違う。彼女らは、男性の反政府抗議者らとテントで野宿していたような女たちだった」と述べ、虐待を正当化した。
アムネスティは、この自認は品位を貶める虐待の事実を捻じ曲げ、正当化したものであると反論し、女性たちは拷問と何ら変わらない処遇を受けていたと主張した。
アムネスティは3月、処女検査を強制された女性抗議者の証言を集め、エジプト軍最高評議会に調査を要請する手紙を書いた。しかし、これまでに返答は受け取っていない。
軍高官はまたCNNに対し、女性抗議者らが後になって「軍によって暴行された」と言われないようにするため、事前に検査したと主張した。
処女のみが強かんの被害者になり得る、としたこの軍高官の暗示は、長きにわたって疑問視されている、性差別主義者の態度や法的な不条理を表している。強かん事件を究明する場合、被害者が処女であるかどうか無関係である。
「軍部は治安部隊および兵士に対し、そのような検査を禁止するよう直ちに指示しなければならない」とアムネスティは述べた。
国際女性デーの翌日にあたる3月9日、タハリール広場の抗議参加者らを軍隊が暴力的に立ち退かせた。その際、18名の女性が拘束され、殴られ、電気ショックを与えられた。その内の17名は、裸にされ、売春の容疑で脅迫され、処女検査を強制された。
女性たちは3月11日に軍事裁判所に連行され、13日に解放された。数人の女性は、治安を乱す行い、所有物破壊、交通妨害、および武器の保持などの容疑で、1年間の執行猶予を受けていた。
エジプトにおける女性への差別的で家長的態度が、政治改革のプロセスに全面的に参加しようとする女性たちの前に立ちはだかってる。
ホスニ・ムバラク大統領を退陣に追いやった、全国的な抗議運動の最前線に女性がいたことは事実であるにもかかわらず、女性は憲法改正委員会のメンバーには選ばれておらず、新たに発足した政府においてもほとんど代表権を得られていない。
「エジプト政府は、国の自由、とくに性の平等と女性の権利のために戦っている全国の全女性の権利を保障しなければならない」とアムネスティは述べた。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年5月31日
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