米国:トロイ・デイビスの処刑が迫っている

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2011年9月17日
国・地域:米国
トピック:死刑廃止
死刑に直面している米国の男性に対し、9月19日に恩赦についての審理が予定されている。彼の運命はそこで決定される。

もし恩赦が認められなければ、トロイ・デイビスは、二日後の9月21日に処刑される。彼は、ジョージア州サバナで警察官マーク・アレン・マクフェイルを殺害した容疑で、1991年に死刑判決を受けた。

「月曜に行われる審理は、ジョージア州恩赦仮釈放委員会が、この事件について恩赦を与えることのできる最後の機会です。」と、アムネスティ・インターナショナル米州部副部長のグアダルーぺ・マレンゴは述べた。

「恩赦仮釈放委員会は、2007年にこの事件の審理を行った際に、委員たちが死刑囚の有罪について疑いはないと確信しない限り、死刑執行手続きを進めることは許可しない、と指摘しています。」とマレンゴは述べた。「私たちは、委員会が4年後の現在も、この事件について多くの疑問が残されていることを認めるだろうと信じています。」

トロイ・デイビスの事件は、主に目撃証言に基づいている。1991年の彼の裁判以降、9人の重要な目撃証人のうち7人が、その証言を撤回するか変遷させており、警察の圧力があったとの申し立てもある。

トロイ・デイビスの事件について、恩赦仮釈放委員会が審理を行うのは、今回で三回目となる。

「私たちは、トロイ・デイビスが死刑判決を受けた犯罪の深刻さを認識していますが、彼の有罪判決に関する多くの疑問は、死刑存置論者でさえ彼の判決を減刑する理由として十分なものです。」と、グアダルーぺ・マレンゴは付け加えた。

アムネスティの活動家たちは、彼を支援するキャンペーンを大々的に展開している。ジョージア州当局に対し、彼の減刑を求める66万通を超える署名を提出し、世界の300カ所以上で抗議集会を開催している。

トロイ・デイビスは、この4年間で4度目の処刑の危機に直面している。彼の有罪判決に関する疑問は、死刑が必然的に持つ残虐性をさらに悪化させ、死刑囚とその家族は、希望と絶望の繰り返しという苦しみを受けている。

2007年1月、トロイ・デイビスは死刑の執行予定時刻まで24時間を切ってから、ジョージア州恩赦仮釈放委員会によって執行が停止された。

さらに、トロイ・デイビスは2008年に2回、執行の危機に直面したが、裁判所により執行が停止された。

トロイ・デイビスが死刑囚となった後、米国では90人以上の死刑囚が無実であることが判明して釈放されている。どれも裁判において、合理的な疑いを差し挟む余地がないとして、被告人が有罪だとされたケースだった。

過去4年間、米国では、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、イリノイ州の3州で死刑が廃止されている。死刑を廃止する法案に署名する際に、3つの州の各知事は、取り返しのつかない過ちをおかす危険性があることを、死刑廃止を支持する理由として指摘した。

世界139カ国が、法律上あるいは事実上死刑を廃止している一方で、米国には現在3200人以上の死刑囚がおり、1977年に死刑執行が再開されて以降、1200人以上の死刑囚が処刑された。現在、ジョージア州には、100人以上の死刑囚がおり、2011年に入ってすでに3人が処刑されている。


アムネスティ発表国際ニュース
2011年9月16日

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