- 2012年2月29日
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
アムネスティはイスラエルに対し、ハデール・アドナンが大至急治療を受けられるように、即時釈放するよう求めている。イスラム聖戦の運動に加わっていると伝えられているこの33歳のパン屋は、10週間余りハンストを続けており、今にも死亡する危険がある。
「ハデール・アドナンは、生きるために、今すぐに治療を受ける必要がある。このような時に、重大な新証拠が出て来ないまま、4月17日まで釈放しないという処置は不十分である」と、アムネスティ・インターナショナルの中東・北アフリカ担当の臨時部長であるフィリップ・ルーサーは述べた。
さらに「たとえハデール・アドナンがハンストを止めることに同意したという報告が本当であっても、それで彼が危機を脱したとか、高度な専門医療の必要が減ったということにはならない」として、次のようにも述べた。
「彼は現在の状態では『治安上の脅威』にはなりえず、即時釈放されるべきである。イスラエル当局は彼を引き続き拘禁することを正当化する証拠を何ら明らかにしていない」
ハデール・アドナンは1月10日に4カ月間の行政拘禁の命令を受けた。イスラエルの軍令では、「治安上の脅威」と見なされるなら、イスラエル当局が被占領西岸地区のパレスチナ人たちを裁判なしに無期限に勾留できることになっている。
イスラエル最高裁は2月21日、ハデール・アドナンからの申し立てを審理することになっていたが、彼の弁護士とイスラエル当局の間に合意が成立したと報じられ、審問は中止となった。
パレスチナ自治政府とイスラエル政府双方の報道官は、ハデール・アドナンがハンストを止めることに同意したと報じているが、アムネスティ・インターナショナルは独自の裏付けができていない。
「行政拘禁されているハデール・アドナンと他のパレスチナ人たちが、他国からみても犯罪と認識されるような罪で速やかに起訴され、公平な国際的裁判基準に沿って裁かれるのではないならば、彼らを釈放するよう、アムネスティ・インターナショナルは改めてイスラエル当局に要請する」と、フィリップ・ルーサーは述べた。
昨年の12月17日早朝、被占領西岸地区のジェニン近くのアラーブ村にあるハデール・アドナンの自宅にイスラエルの治安部隊が踏み込み、彼を逮捕した。
彼の長期に及ぶハンストは、彼に対する虐待や拘禁状態、行政拘禁政策に対する抗議として始められた。
非常事態宣言下においてさえ、すべての被拘禁者には公平な裁判を受ける権利がある。これは国際的に認められた権利である。行政拘禁はこの権利を侵害しているとして、アムネスティ・インターナショナルはイスラエルに対し、これをやめるよう要請してきた。
ハデール・アドナンは体調が悪化したために、12月30日から入院している。現在、武装した看守の下、イスラエル北部のジフ病院に収容されている。
2月19日の時点で、イスラエルの「人権のための医師団」の医師たちは、イスラエル監獄局が拘束具を解くと約束をしたにもかかわらず、彼が依然として病院のベッドに拘束されていることを報じている。
20名余りのパレスチナ立法評議会の議員を含む約309名のパレスチナ人たちが現在、行政拘禁されている。5年以上も拘禁されている人もいる。
アムネスティ発表国際ニュース
2012年2月21日
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