イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:西岸地区でのイスラエルの違法な併合 国際的な不処罰が助長

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2026年3月11日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争

2025年12月以降、イスラエル当局は、東エルサレムを含む被占領ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の土地や財産を奪い、この地域の併合を不可逆的な現実にするために策定された一連の違法な措置を相次いで実施している。

こうした措置の決定は、違法な入植地を拡大するイスラエルの計画が、前例のない規模で加速していることを表す。さらに多くのパレスチナ人の土地の奪取が容易になり、既存の入植地を拡大しつつ過去最多となる新たな入植地が承認され、西岸地区の土地をイスラエルの国有地として正式に登録する手続きが進められているのだ。イスラエルの歴代政府は、入植地を拡大し、占領とアパルトヘイトを固定化させる政策を推進してきたが、今回の措置は、ガザにおけるジェノサイドの陰で、現政権がこうした取り組みを一段と加速させていることをあらためて浮き彫りにする。

今、私たちが目の当たりにしているのは、国際刑事裁判所が戦争犯罪と人道に対する罪で指名手配している首相に率いられた国家が、国際法を無視し公然と勝ち誇っている姿だ。国連の多くの決議と、国際司法裁判所の勧告的意見や世界的な激しい非難にもかかわらず、イスラエルは違法な入植地を厚かましくも拡大し続け、残酷なアパルトヘイト体制を強化し、パレスチナ人の命と生活手段を破壊している。

米国政府の絶対的な支援に加え、ガザにおけるパレスチナ人のジェノサイド、違法な占領に関連する数十年にわたる国際法違反の犯罪、アパルトヘイト体制といったイスラエルの行為に対し国際社会が十分に責任を追及してこなかったことが、イスラエルの違法行為の加速を助長している。こうした状況のもと、イスラエルは土地の強奪を、いかなる責任も問われないとの確信の上で制度化している。

西岸地区全土での違法な入植地の急速な拡大と、国の後ろ盾を受けた入植者による暴力と犯罪の増加は、断固たる行動を取ってこなかった国際社会の失態を痛烈に示すものだ。第三国は自身の法的義務を順守せず、EU・イスラエル連合協定の停止など自らの裁量でできる手段の行使も拒み、イスラエルの違法な政策遂行を許してきた。

西岸地区を分断するE1計画

2025年12月10日、イスラエル土地管理局は、占領下の西岸地区、エルサレムの東側にあるE1地区と呼ばれる場所での3,401戸の住宅建設の入札を公示した。この計画は、違法な入植地マアレ・アドゥミムを拡張し、占領下の東エルサレムとつながる区域をつくろうとするものだ。計画が実行されれば西岸地区が二分され、ラーマッラー、占領下の東エルサレム、ベツレヘムというパレスチナ人の都市連続性が恒久的に切り裂かれる。さらにこの計画は、今月着工予定のバイパス道路建設とともに、この地区に暮らすパレスチナ人の強制移住につながる。

1990年代以降、歴代のイスラエル政権はE1計画を実施しようとしてきたが、国際社会の圧力により数十年間、ほぼ凍結状態にあった。今回の急速な進展は、国際社会の反発が不十分な中、政府が入植地の拡大を露骨に推進していることを示す。  

深刻化する土地収奪

1967年にパレスチナ人の領土を占領して以来、イスラエルはパレスチナ人に対し、所有権のはく奪と支配のための抑圧的な行政・法体系を導入し発展させてきた。現政権は、急速な入植地拡大と土地没収により、この動きをさらに加速させている。2025年12月11日、イスラエルの治安閣議は、19の新たな入植地の建設計画を承認した。現連立政権が承認した総数は、わずか3年間で68に上り、公認された入植地の合計数は約210となる。現在、およそ75万人のイスラエル人入植者が、東エルサレムを含む西岸地区に違法に住んでいる。

新たな入植地の中には、イスラエルの国内法にさえ違反して建設された「アウトポスト」と呼ばれる開拓地を、事後的に「合法化」するものもある。信頼できる報道によると、少なくとも3カ所は、国の支援を受けた入植者の暴力で、最近、強制的に追い立てられたパレスチナ人の集落の土地に建てられている。

入植地の拡大を監視しているイスラエルの組織、ピース・ナウによると、2025年だけでも、「牧畜」と「農業」のために86カ所ものアウトポストが作られ、その結果、入植者の暴力とパレスチナ人の強制移住が急増した。イスラエル軍の保護とイスラエル農業省の資金提供を受けるアウトポストは、パレスチナ人農民や牧畜民の生活を生き地獄にしている。アウトポストの入植者たちは、強引にパレスチナ人遊牧民を放牧地から締め出し、彼らの主要な生計を奪うだけでなく、力づくで土地を奪い、財産を破壊し、家畜を盗み、パレスチナ人とその住居を襲っている。

イスラエルの人権団体ベツェレムによると、入植者の暴力の結果、2025年には21のパレスチナ集落で、全体あるいは部分的に、住民が家を追われた。ジェリコ近くの集落に住む3人の子を持つ母親は、「襲撃への恐怖から、子どもたちには靴を履いたまま寝かせていた。いつでも逃げられるように」と、アムネスティに語った。2026年1月、彼女と家族は他の122の家族と一緒に凍える寒さの中、追い出された。合計600人以上のパレスチナ人がこの集落から強制的に移住させられている。

イスラエルによる土地収奪は、深刻化している。イスラエル民生局は2026年1月5日、西岸地区北部のパレスチナ人の町、デイル・イスティヤ、ビディヤ、カフル・トゥルスの694ドゥナム(69.4万平方メートル)の土地を「国有地」と宣言し、2月8日にはイスラエル安全保障内閣が西岸地区の支配を拡大する一連の措置を発表した。措置は、現在も有効なヨルダンの法律を廃止してイスラエル人入植者がパレスチナ人の土地を規制なく購入できるようにする、ベツレヘムにある聖地ラケルの墓とヘブロン市での都市計画・建設に関わるイスラエルの行政支配を拡大する、考古遺跡と、パレスチナ自治政府が行政と治安の権限を持つA地区、パレスチナ自治政府が行政をイスラエルが治安を担当するB地区の水資源と環境に関し、イスラエル当局に新たな執行権限を付与するなどだ。

2026年2月15日、イスラエル内閣は、イスラエル法の下で併合に等しい決定を下した。土地登記の権限を、西岸地区の民事を管轄する民生局からイスラエル法務省に移管し、2億4400万シェケル(約124億円)を投じて、C地区(行政も治安もイスラエルが実権を持つ)の土地登記を円滑に進めるための政府機構を設置するとしたのだ。

ピース・ナウによると、現在、C地区における土地の約58%が未登記だ。イスラエルはすでに同地区の半分以上を国有地に指定して強制収用している。土地の所有権の証明は、イスラエルがオスマン帝国時代の土地法を持ち出して多種多様な書類、地図などの記録の提出を課しているため、パレスチナ人にとってほぼ不可能となっている。

土地の登記は、イスラエルによる土地の収奪の遠回しなやり方にすぎない。目標は間違いなく、全面的な併合で、実現に向けた基盤はほぼ築かれている。現イスラエル政権の閣僚たちは、もはや自分たちの意図を隠す必要すら感じていない。

イスラエルは、パレスチナ人に対する占領軍としての義務をまったく無視し、占領地域の併合と入植地建設を断固禁じている国際法にあからさまに違反し、積極的な併合政策を意図的に、確実に進めている。 

これらの方策は、2004年と2024年の国際司法裁判所の勧告的意見を公然と無視するものだ。2024年の勧告的意見は被占領パレスチナ地域におけるイスラエルの存在を明白に違法としている。 それに続く国連総会の決議は、2025年9月を期限に違法な占領の終結を迫った。 しかし、イスラエルはそれに応じる代わりに、国際法を破る新たな方法を見出し、違法な占領とアパルトヘイトをさらに強固なものにしようとしている。一方で国際社会はといえば、パレスチナ人の権利についてせいぜい口先だけで擁護するにとどまり、効果的な行動は何一つとっていない。

アムネスティ国際ニュース
2026年2月26日

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