- 2012年3月14日
- 国・地域:中国
- トピック:
多数の同法改正案について審議している中国の全国人民代表大会に宛てた覚書の中で、アムネスティは第73条改正案の否決を求めた。第73条は、国家が政治的に「破壊的」と見なした人物を警察が強制的に失踪させるという、最近とくに頻繁に使用されるようになった手段を、合法化するものである。
「このような警察権力の拡大は、秘密裏の拘禁や失踪を事実上合法化するものです」とアムネスティのアジア太平洋副部長、キャサリン・バーバーは述べた。
ここ一年間、中国当局は、中東や北アフリカでの出来事に触発された中国版「ジャスミン革命」への平和的な呼びかけに対し、数十人もの活動家を恣意的に拘禁することで対応してきた。このうちの何人かは外部との連絡を絶たれたままであり、多くが殴打され、拷問されている。
アムネスティは、いくつかの改正案については評価している。たとえば、未成年や精神障害者に対する法的保護の改善や、刑事訴訟手続きと死刑を求刑する事件から不正に入手された証拠を排除することなどである。
アムネスティはまた、犯罪の捜査における、「黙秘権」や「有罪の立証がされるまでの間は無罪と推定される」権利、さらに盗聴などの「科学的情報収集」技術の乱用を防止するための具体的な予防措置が、改正の内容に含まれることを強く求めている。
中国では、長い間、「国家安全危害罪」に対する容疑が、政府に対する批判を封じ込める手段として使われてきた。今回の改正は、「国家安全危害罪」や、「テロ」、その他の「重罪」の被疑者から、拘禁について被疑者の家族に知らせる権利や、弁護士に接見する権利を含む、基本的な権利を奪うものである。
「中国は、刑事司法の二重基準を作り出す危険性があります。この二重基準のもとでは、『国家安全危害罪』のような、曖昧に定義された犯罪の被疑者に対する基本的な法的保護が、奪われてしまいます」とバーバー部長は述べた。
さらに、「このような改正は、法の支配を確立するという、中国の長年の公約を損なうとともに、『人民の自由を保障』し、『人権を守る』ために、これらの法改正が起草されたという指導者の主張の説得力も失わせることになるでしょう」と付け加えた。
注:
全国人民代表大会に宛てたアムネスティの覚書(英文):
http://www.amnesty.org/en/library/info/ASA17/007/2012/en
人権派弁護士・高智晟をはじめとする強制的失踪のケース(英文):
http://www.amnesty.org/en/news/china-authorities-must-drop-charges-against-human-rights-activist-2011-12-22
アムネスティ発表国際ニュース
2012年3月7日
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