台湾:世論の死刑執行圧力に屈してはならない

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2012年12月21日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:台湾
トピック:死刑廃止

死刑廃止のキャンペーンを行う、台湾のサポータ。(c)AI
死刑廃止のキャンペーンを行う、台湾のサポータ。(c)AI

台湾政府は、世論の圧力に屈して死刑執行の流れを逆戻りさせてはならない。死刑廃止への第一歩として、死刑を即時に停止することを、アムネスティ・インターナショナルは求める。

12月1日に台湾で発生した10歳の男児の殺害事件で、政府に死刑執行を求める世論が高まっている。

殺人容疑者は「台湾政府は死刑をしない方向に動いているから、処刑は怖くない」と話したと報じられた。

殺人容疑者の死刑執行を要求したいくつかの大規模なデモの後、法務省は12月6日、「処刑は実施しなければならない」と声明を出した。しかし、まだ日程は設定されていない。

法務省のこの声明は遺憾である。政府が以前から死刑をやめるとしてきた中で、失望感はとりわけ大きい。

台湾は今年一人も執行していない。2011年には5人を執行し、現在61人の死刑囚がいる。

政府は、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)を履行することに合意しており、最終的には死刑を廃止するという意志を繰り返し表明している。

今回の事件がいかに衝撃的であっても、一つの事件で死刑の復活を正当化することはできない。今死刑を実行することは、台湾政府にとって重大な後退を意味する。

台湾では死刑囚に恩赦や減刑を求める手立てがない。しかし、この手立ては、台湾議会が批准した自由権規約に定める死刑囚の権利である。

容疑者の家族は前もって処刑日常を知らされない。死体安置所から死体を引き取りにくるように呼ばれたときに初めて知る。

さらに、台湾の死刑執行には、公正な裁判に対する深刻な懸念がある。

4月に台湾最高裁判所は、21年前の夫婦殺人で3人に下された死刑判決を、信頼できない自白に基づくものだとして却下した。

アムネスティは、いかなる犯罪・犯罪者・執行方法に問わず、あらゆる死刑に対して例外なく反対する。

アムネスティ国際ニュース
2012年12月7日 

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