大韓民国:労働組合のスト権を尊重せよ

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2014年1月15日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:大韓民国
トピック:

韓国で何千人もの鉄道労働者がストライキを行った。(C)WOOHAE CHO/AFP/Getty Images
韓国で何千人もの鉄道労働者がストライキを行った。(C)WOOHAE CHO/AFP/Getty Images

韓国当局は2013年12月22日、民主労総に対し警察による大規模な強制捜査を行ったが、当局は警察の使用を自制してスト権を尊重しなければならない。

民主労総を強制捜査したことは、国際人権基準と労働基準に違反している。当局は不当な警察力と労働組合活動家の逮捕を中止し、ストライキをしている労働者の権利を尊重するべきである。

警官数千人が民主労総に投入され、労働組合活動家130人余りが逮捕された。今回の民主労総への強制捜査は、大規模解雇につながる可能性のある決定に不安を覚えた鉄道労働者が起こしたストライキへの対応として行われた。警察が催涙スプレーを噴射したため、労働者の一部が負傷したともいわれる。

捜査は令状なしに行われたもので、民主労総に警察が介入したのは1999年の民主労総が合法化されて以来初めてだ。

鉄道労働者たちは、韓国鉄道公社が韓国高速鉄道を分離運営するという決定に抗議して12月9日にストライキを開始した。民主労総傘下の全国鉄道労働組合(鉄道労組)は、このような分離操作の動きが韓国鉄道公社の民営化と大規模な整理解雇につながる可能性があると懸念している。

強制捜査に先立って12月17日、警官30人余りが鉄道労組の事務室に対し家宅捜索を行い、コンピュータのハードディスクや文書を押収した。19日にも警察は大田、釜山、舒川(ソチョン)、栄州(ヨンジュ)にある組合事務所を同時に家宅捜索した。

鄭烘原(チョン・ホンウォン)国務総理は12月18日鉄道労働者のストライキを「不法ストライキ」と規定し、厳正に対処するとの方針を明らかにした。

韓国鉄道公社は懲戒措置としてストライキに参加した7927人を停職処分にした。業務妨害の疑いで鉄道労組幹部28人に対する逮捕令状が出ており、幹部2人が逮捕されている。鉄道公社は労組を相手に77億ウォンの損害賠償訴訟を提起した。このようなストライキへの対応は、国際的に認められている労働基準に正面から違反するものである。

たとえストライキが人命を脅かすような暴力や相当な器物破損をもたらす危険が非常に高く、警察介入が避けられない場合だとしても、警察の使用については必ず国際基準に従わなければならない。法執行官のための国連行動綱領では、力の使用は例外的なものにとどめるべきで、法執行公職者が力を使用するのはどうしても不可欠な場合にのみ、そして任務の履行に必要な範囲に限るとしている。

背景情報

アムネスティ・インターナショナルはこの争議に端を発して、2009年に行われた鉄道労働者のストライキの時のように、人権侵害が繰り返し行われるのではないかと懸念している。2009年当時、ストライキに参加した鉄道労働者への対応は、2012年11月国際労働機関(ILO)結社の自由委員会で激しい非難を受けた。

当時のストライキでは、200人近くの労働組合幹部が解雇され、約15000人が懲戒処分を受けた。ILO結社の自由委員会は、ストライキに参加した鉄道労組の幹部と組合員を対象とした刑法第314条(業務妨害)に基づく刑事起訴を直ちに取り下げて、「解雇者復職」と「懲戒処分の撤回」を促した。

韓国政府は現在まで、この勧告を履行していない。

アムネスティ国際ニュース
2013年12月24日

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