カタール:外国籍家事労働者が直面する強制労働と暴力

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2014年4月24日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:カタール
トピック:難民と移民

以前家事労働をしていたインドネシアの女性は傷跡を見せ、雇い主に負わされたと語る。(C)Amnesty International
以前家事労働をしていたインドネシアの女性は傷跡を見せ、雇い主に負わされたと語る。(C)Amnesty International

アムネスティ・インターナショナルは本日発表した報告書の中で、カタールの移住家事労働者が強制労働や肉体的・性的な暴力などで搾取されているにもかかわらず、当局が何の対策も講じずに野放しにされている実態を明らかにした。

報告書「睡眠だけが休息:カタールの家事労働者が受ける搾取」には、給与と労働条件を確認したうえで同国にやってきた移住女性たちが直面する現実が綴られている。条件はでたらめで、1週間休みなしで長時間働かされているのだ。性的暴力を受ける女性もいる。

外国籍家事労働者は、法律で労働者として権利を守られることもなく、強制労働や人身売買などの搾取や虐待にさらされている。

アムネスティ調査員は、甘言の罠にはまった女性たちから話を聞いた。そこには、横暴な雇用主の下で過酷な労働を強いられ、外出も認められず、外出を希望すると暴力をふるわれる実態があった。1日の休みもなく、週100時間も働いたという女性もいた。

カタールの法律には、家事労働者の労働時間に制限はなく、休日規定もない。労働省への苦情申し立てもできない。その結果、家事労働女性は悲惨な状況に置かれる。やむにやまれず雇用主から逃げ出せば、「逃亡者」の烙印を押された上、たいていは身柄を拘束され、強制送還となる。

家事労働者の身元保証には厳しい制約があり、雇用主の承諾なく離職や出国ができない。良い仕事を見つけ好待遇を受ける女性がいる一方で、虐待を受ける女性は逃げ出す以外の選択肢はほぼない。

同国の女性移住家事労働者数は8万4000人を超え、その大半が南アジア、東南アジアからの人びとである。2013年3月、ドーハの強制送還センターに収容されている女性の95パーセントは、家事労働者だった。

その1人のインドネシア人女性は、調査員に、雇用主(女性)から熱したアイロンを押し付けられてできた腰のひどいやけど跡を見せてくれた。1週間に1日の休みもなく、何カ月も給与が支払われていないという。雇用主は外出を許さなかった。何とか家から脱出したが、結局は警察に捕まり勾留された。

肉体的、性的虐待

ほかにも衝撃的な話を聞いた。叩かれ、髪を引っ張られ、目を突かれ、蹴られて階段から落ちたという女性たちもいた。強かんされたという女性は3人いた。

これらの虐待を告訴しても、壁は厚い。聞き取りを行った犠牲女性たちの加害者は誰一人として、起訴や有罪判決を受けていないという。

さらに悲惨な女性がいた。雇い主の強かんの手から逃れて窓から落ちた女性が、地面に倒れて動けなくなった(後に、両足骨折、脊椎損傷と診断)。その彼女に雇い主は性的暴行を加えた。救急車を呼んだのはその後だった。

調査員がその女性に会ったのは、事件から6カ月後だった。まだ車椅子で生活していた。告訴したが証拠がないとして却下され、雇い主は罪を問われなかった。女性はその後、フィリピンに帰国した。

性的虐待を受けると婚姻外性交渉の「不貞罪」に問われることもある。有罪なら1年の拘禁と強制送還が科される。強制送還センターに収容されている家事労働者には、妊娠女性や乳児13人とその母親もいた(2013年3月現在)。

不貞罪の規定は速やかに撤廃されるべきである。

変革への呼びかけ

2022年のサッカーのワールドカップ開催で、同国の外国人建設労働者の窮状が注目されている。一方で家事労働者は、労働権の保障が皆無で雇用主宅で孤立しているため、より深刻な虐待を受ける危険性がある。

アムネスティは、カタール当局に対して、家事労働者などの労働の権利を否定する法規を速やかに廃止するよう要請してきた。最近政府は、家事労働者法を制定することを繰り返し公言しているが、今のところ何の手立ても講じていない。政府は直ちに行動し、彼らの権利を保障すべきである。

背景情報

報告書の作成にあたり、アムネスティは52人の女性家事労働者、政府関係者、家事労働者の出身国の外交官、斡旋業者などに聞き取りをした。また、窮状にある家事労働者を支援する団体が提供するデータも活用した。調査員は強制送還センターと刑務所も訪問した。

アムネスティは2013年11月にも同国の移住建設労働者に関する報告書を出したが、その後、政府は移住労働者が置かれている状況を総合的に把握する一環として、DLAパイパー法律事務所がこの報告書を検証する、と発表した。検証内容は、数週間以内に公表される予定である

アムネスティ国際ニュース
2014年4月23日

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