- 2014年6月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:エジプト
- トピック:死刑廃止
上エジプトにあるミニア県の刑事裁判所は6月21日、盲目の男性1人を含む183人のモルシ元大統領の支持者への死刑判決を支持した。これはエジプト司法の急速な政治化と司法や死刑に対する恣意的態度を表している。
エジプトでは6月半ばに2011年以来となる死刑執行が行われたが、今回の判決はそのすぐ後に下された。
ここ数カ月エジプトの裁判所は、2件の集団裁判で見られるように、説得力のない証拠と欠陥だらけの司法手続きに基づき、いとも簡単に死刑判決を出している。
裁判所は4月28日の審理で683人すべての被告人に死刑判決を求めた。その後このケースはイスラム最高法官(大ムフティ)に委ねられた。どんな死刑判決も正式に言い渡す前に大法学者の判断を仰いでいる。
カイロでムスリム同胞団の座り込みが流血の惨事になった2013年8月、エルミニア県アル・アドワ村の警察署付近で暴動が起こり、暴動に関与したと疑われた683人が起訴された。
この1年、モルシ元大統領の支持者が政治的意図で裁かれるケースが急増している。
6月19日にギザ刑事裁判所がムスリム同胞団の幹部ほか11人に死刑を求めたのもそのひとつだ。
11人は、昨年8月のモルシ大統領の失脚後のギザでの衝突事件に関連して、暴動を扇動したことなどで有罪となった。裁判所は大ムフティに判断を仰いだ後、8月3日に判決を出す。
エジプトの司法制度は場当たり的で、その判決は独立性と公正性に大きな懸念がある。正当な司法は崩壊し、本来の機能を果たすことは不可能だ。死刑は政敵を排除する道具と化している。
一方、暴力行為に関連して有罪となった警官はいない。治安警察は昨年8月、カイロで座り込み中のモルシ支持派に過度の武力を用い約1000人を殺害したが、有罪となった警官はひとりもいない。
アムネスティ国際ニュース
2014年6月21日
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