- 2014年6月26日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:危機にある個人
ウイグル人の著名な学者イルハム・トフティさんが「国家分離主義」の容疑で逮捕されていたことがわかった。(C)Private
中国当局は、著名なウイグル人学者を「国家分離主義」の容疑で秘密裁判にかけたという。法の支配に基づく国家だという自らの主張を否定したことになる。
サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が伝えたところによると、今年1月25日、北京の自宅で逮捕されたウイグル人学者、イルハム・トフティさんの裁判が、準正規軍である新疆生産建設兵団の裁判所で秘密裏に行われた。有罪となれば、懲役10年から終身刑までの判決が予想されるが、死刑が適用される可能性もある。
この秘密裁判が事実だとすると、「法治国家」中国の面目をまた大きく汚すことになる。イルハムさんは、この6カ月間弁護人との接見を一度も許されずに隔離拘禁されている。これは明らかに国際人権法違反である。
新疆ウイグル自治区で暴力事件が相次ぐ中、非暴力と民族間の対話に力を注いでいることで知られるウイグル人有識者をなぜ当局が標的にするのか、理解に苦しむ。当局がイルハムさんを容赦なく拘束して口を封じている背景に、ウイグル人に対する弾圧の強化があることを考える必要がある。
イルハムさんの弁護人、李方平さんは6月17日、「秘密裁判については2つの消息筋から情報を得ていたが、当局に確認したところ否定も肯定もしなかった」とサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙に語った。
ウエブサイト「ウイグル・オンライン」の開設者で、国の新疆(統治)政策に辛口の論評をするイルハムさんは、現在新疆ウイグル自治区の区都ウルムチの収容所に拘束されているものと思われる。
「テロ」への厳しい報復
5月22日、ウルムチの朝市で死者39人と負傷者94人を出す爆発事件が起きた。事件を受け、中国当局は翌日から「厳打(厳重に犯罪を取り締まる)」キャンペーンを展開した。イルハムさんの秘密裁判もこのキャンペーンの一環とされる。
最近ウイグル人のグループによる犯行とされる凶悪事件が頻発しているが、中国の対応は非常に憂慮すべきものである。容疑者を一斉に検挙し、まとめて裁判にかけている。このような短期間で公正な裁判ができるのか、はなはだ疑問だ。
中国が、新公民運動に関わる人びとはもとより、穏健派のウイグル人有識者に政治的かつ強硬な対応をしているのでは、意義ある対話の可能性を根本から排除してしまう。
アムネスティ国際ニュース
2014年6月18日
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