エジプト:183人の死刑判決確定は言語道断

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. エジプト:183人の死刑判決確定は言語道断
2015年2月11日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:エジプト
トピック:死刑廃止

エジプトは不公平な裁判の後、183人に死刑判決を下した。(C)Orla 2011/Shutterstock.com
エジプトは不公平な裁判の後、183人に死刑判決を下した。(C)Orla 2011/Shutterstock.com

エジプトの裁判所は2月2日、183名に対する死刑判決を最終決定したが、この決定は、エジプトが国内法および国際法をなおざりにしていることをあらためて示した。この死刑判決はまた、エジプトの刑事司法制度の偏向を示す例でもある。

このような評決および判決は破棄されるべきであり、有罪とされた人々は国際基準から見て公正で、死刑のない裁判を受けられるようにすべきである。

死刑はいかなる状況下においても残虐で非人道的な刑罰である。裁判の公正さに深刻な疑惑がある中での死刑判決は言語道断であり、国際法に反する。

今回の判決は、警察や軍への襲撃に関与した者への処刑を呼びかける全国的なメディアキャンペーン後に出された。このキャンペーンは先週起きたシナイでの襲撃事件で勢いを増していた。

昨年12月、ギザ刑事裁判所は2013年8月に起きた、警官11人を殺害した警察署襲撃事件に関与したとして188人に有罪判決を下した。そして2月2日、最高イスラム法官(大ムフティ)の裁可を得て、最終評決が出されたのである。

裁判は本来の法廷ではなく、警察機関内で開かれ、証人はすべて警官か警官の家族だった。被告人らの家族は出席できなかった。家族や一般市民の傍聴を認めないのは国内法や国際法に反しており、警察機関内での裁判は推定無罪や公正でオープンな審理を受ける権利を犯すものである。

弁護団はすべての被告人が審理に呼ばれたわけではないと話した。呼ばれた者も大きな暗いガラスの衝立によって法廷の他の人たちから引き離されていたため、裁判の進行を聴いたり、弁護団と接触することができなかった。弁護団は、審理の間検察側の証人に対して反対尋問をすることもできず、裁判官はすべての証人を召喚しなかったとも語っている。

アムネスティは、犯罪の性質や状況、犯罪者の特質、執行方法にかかわりなく、すべての死刑に例外なく反対する。

背景情報

警官殺害の事件では、これまでに4件の裁判で計415人に死刑判決が下された。一方、ムバラク政権時に反政府デモで何百という参加者が殺害された件など、ムバラク元大統領に対する訴訟は取り下げられている。また、2013年8月にモルシ支持派が座り込みをした際に治安部隊が過剰な武力を使い1,000人が死亡した件では、いまだに誰一人として罪に問われていない。

アムネスティ国際ニュース
2015年2月2日

関連ニュースリリース