イエメン:武装組織「フーシ派」 平和的デモを拷問で封じる

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2015年3月 5日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イエメン
トピック:

アムネスティが現地で収集した証言から、武装組織「フーシ派」が組織に抗議する声を封じ込めようと残虐な拷問を行っている様が明らかになった。フーシ派が組織の支配に反対する者すべてに恐怖を植え付けるために行っている脅迫と暴力は、危険さが飛躍的に増している。

アリ・タハール・アリ=ファキーさん(34才)とアブデリアリル・アル=スバリさん(40才)がアムネステイに語ったところによれば、2人は2月11日、2011年2月の民主蜂起を記念するデモに参加して拘束され、拷問を受けた。同じく拷問を受けたサラー・アル=バシリさん(35才)は、拷問で重傷を負い、後日死亡した。

この3人の男性たちは、拷問を免れたもう1人と共にどこかの場所へ連行され、2月13日夜まで地下に拘束された。2月15日にアムネスティの調査員が彼らに面会したときは、拷問で受けたひどい傷や痣が体中に見られた。アブデリアリル・アル=スバリさんの臀部は、傷口がぱっくり開いていた。

アリ・タハール・アリ=ファキーさんはアムネステイに、「最初に拷問に呼ばれたのはサラーだった。それから、14日の午後2時頃まで戻って来なかった。戻って来た時、手を貸しても動くことも立つこともできず、話すこともできず、ただ、喉が渇いた、としわがれ声でつぶやいただけだった」と語った。

「サラーを病院へ連れて行き、そこで最低限の治療を受けさせた。院内にはフーシ派の兵士も数人いたので、また連れ去られることを恐れた俺たちは、すぐに病院から抜け出し、家に逃げ帰った。ただ、サラーの状態は悪化し、2時間の道中で亡くなってしまった」

数日前の2月7日、活動家のアーマド・アル=サブハニさん(21才)はニューサヌア大学近くで抗議活動後に、フーシ派の集団に捕まった。彼が乗ったタクシーが追跡され、車を止められたのだった。その後5日間拘束された。

「兵士に武装反対派だと言ったら、背中と足を中心に20回続けて棒で殴られた。そして反対派の活動家やそのリーダーの名前を書くよう強要された」

アムネステイが入手した写真の傷跡は、アーマドさんの話を裏付けている。

フーシ派は恣意的拘禁、拷問、虐待などの違法行為を、直ちにやめるべきである。イエメンの検察は類似のケースを含め、一連の拘束や拷問について速やかに捜査をするべきであり、法の下で裁くべきである。

背景

武装組織フーシ派のメンバーの多くは、シーア派の一派であるザイド派に属しており、2004年から2010年には当時の政権に繰り返し弾圧されていた。しかし、現在は、自分たちを批判する人びとに対し、自分たちが受けたような数々の人権侵害を行っている。フーシ派は昨年9月に首都サヌアに侵攻し、数部隊と拠点を掌握した。さらに2015年1月半ばまでに、軍の拠点、大統領施設や政府の建物を攻撃している。これによりハディー大統領と政府は辞職に追い込まれ、フーシ派はサヌアと他の一部の都市を事実上支配した。

アムネスティ国際ニュース
2015年2月16日

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