イエメン:武装組織が女性保護施設を占拠

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. イエメン:武装組織が女性保護施設を占拠
2024年6月22日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イエメン
トピック:女性の権利

イエメン南部アデン州の事実上の当局、南部暫定評議会は、市民団体イエメン女性連盟の保護施設の占拠を解除し、ジェンダーに基づく暴力の被害者である女性や子どもが保護されるようにしなければならない。

5月26日、同評議会が支援する南部女性連盟の女性を引き連れた武装グループが、アデン州シラ地区にあるイエメン女性連盟の建物に押し入り、建物の入り口と部屋の鍵を取り替え、監視カメラを破壊した。また、これまでの警備員に代えて評議会寄りの武装警備員を配置し、イエメン女性連盟のスタッフや保護を求める女性の出入りを認めなかった。

評議会は、暴力から逃れてきた女性や子女の安全を確保し、女性らの保護に取り組む市民団体の活動を支援するどころか、避難してきた女性に暴力を加えた。

評議会は、保護施設の居住者の安全を確保し、ジェンダーに基づく暴力の被害者が引き続き支援を受けられるよう、結社の自由を尊重し、スタッフの職場復帰を認めなければならない。

1968年に設立されたイエメン女性連盟は、アデン州で唯一のジェンダーに基づく暴力被害者の保護施設を運営し、ジェンダーに基づく暴力を受けた女性に対し、約15人が宿泊できる施設を提供するほか、法的支援、リハビリ、保護などのサービスを提供している。襲撃時、保護施設には女性10人と子ども2人がいた。

保護施設を占拠した武装グループには、評議会の支援を受ける南部女性連盟の女性数人も加わっていた。

襲撃の直後、公的資金に関する犯罪を担当する検事が、女性の解放と容疑者の検察への送致を警察に命じたが、これまでのところ警察が動いた様子はない。イエメン女性連盟のメンバーによると、警察は上層部から「評議会による乗っ取りに介入するな」という指示を受けていたという。

アムネスティは、イエメン女性連盟のスタッフ6人に話を聞き、襲撃時の様子を撮った動画や写真、検察の命令書も確認した。

スタッフは「襲撃を受けた時、避難所内の女性や子どもは恐怖に怯えていた」とアムネスティに話した。女性と子どもは全員屋上に逃れ、炎天下の中で事態の収束と自分たちの部屋に戻れる時を待っていた。

襲撃を受けた時に保護施設にいた唯一の職員は5月26日以降、施設に戻れなくなることを恐れて保護施設を出ていない。

また、法的支援、心理社会的支援、リハビリ支援を提供するスタッフの立ち入りが認められないという。

評議会は、武装グループを撤退させ、助けを求める女性やサービス提供者が保護施設に出入りできるようにしなければならない。

評議会は、本来なら女性や子どもに安全な場所を提供する保護施設の運営を妨害し、ジェンダーに基づく暴力の被害者の安全と保護を受ける権利を事実上否定しているが、この対応は決して許されることではない。

市民への弾圧が続く

5月13日、南部女性連盟は保護施設を占拠しようとしたが、この時は南部女性連盟の看板と評議会の旗を掲げただけで終わった。

昨年3月には、評議会の治安部隊がアデン州のジャーナリストの本部事務所を襲撃し、資料や物品を押収し、その場にいたジャーナリストを追い出した。また、事務所の看板を評議会が支援する南部ジャーナリスト・メディア労働者連合の看板に差し替えた。

評議会によるイエメン女性連盟の襲撃の背景には、評議会当局がアデンの市民団体や人権擁護者に課している不当な制約がある。評議会当局は、市民活動への圧力を停止すべきだ。

アムネスティ国際ニュース
2024年6月6日

英語のニュースを読む

関連ニュースリリース