イエメン:女性の自由を奪う男性後見人の付き添い義務

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2022年9月10日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イエメン
トピック:女性の権利

イエメン北部を実効支配するフーシ派は、遠出する女性に男性後見人の付き添いか、女性1人での移動を男性後見人が許可したとする書面の提示のいずれかを義務付けている。この義務付けは廃止すべきだ。

今年4月以降、フーシ派は、女性の移動を制限するため、男性後見人付き添いの義務付けを強化してきた。仕事、通院、人道支援活動などで動き回る必要がある女性にとって、特に遠出の機会が多い女性には、制限が大きな足かせになっている。

女性人道支援活動家は、実地調査がままならなくなるだけでなく、支援を必要とする女性や少女にも、深刻な影響を与えている。

男性後見人付き添い義務付けは、ジェンダーに基づく差別であり、女性が日々直面する差別を固定化させた。

国際社会は、男性後見人による女性の行動制限をやめるようフーシ派に圧力をかけるべきだ。

イエメンはすでに壊滅的な人道危機に直面している。女性支援者への移動制限が続けば、支援を必要とする女性や少女もさらに深刻な影響を受けるおそれがある。

アムネスティは女性の支援者や団体職員5人に聞き取りをした。5人はいずれも4月から8月にかけて出張した際、男性後見人が作成した許可書を求められたという。

息の詰まるような思い

8月初め、移動に車が必要だったアフラさん(36歳)は、複数のレンタカー店を訪れたが、いずれも「男性後見人が一緒でないなら車を貸せない」と断られた。

「出張するために夫には仕事を休んでもらい、学校に通う娘も連れていくはめになった。車を借りるために、役所に家族3人の身分証の写しや婚姻証明書、娘の出生証明書を提出しなければならなかった。この義務付けで、男性は私たち女性をさらに支配し、女性の移動や活動を細かく管理するようになる。本当に息苦しい」と訴えた。

ノウラさん(48歳)は7月に、男性後見人が書いた許可書を持っていなかったため、レンタカーを借りられず、県をまたぐ移動ができなかった。「後見人になっている弟は私より10歳年下」と嘆いた。

人道支援活動家の活動への支障

アムネスティが話を聞いた人道状況に詳しい専門家7人と国連人道問題調整事務所の報告書によると、今年4月から6月にかけてフーシ派の支配地域全域で男性後見人の付き添い義務付けが強化された。その結果、各人道団体の女性スタッフの移動が困難になり、物資の配給やその他の支援が滞る事態が度々発生した。

複数の専門家は「移動時の男性後見人がいない女性の支援者は、活動がますます難しくなっている」と話した。その結果、女性活動家だけが提供できる支援や治療を切実に必要とする女性や少女が、支援を受けられる機会が特に制限されている。また、女性が人道団体を辞めざるを得なくなり、結果として家族を支える上でも支障をきたしているという。

背景情報

現地の人権団体「人権ムワタナ」によると、2017年以降、フーシ派は女性への制限をますます厳しくしてきた。女性や少女は、性と生殖に関する医療を受けられず、公共の場では男女が分離を強いられ、一部の地域では就労が禁じられている。

アムネスティ国際ニュース
2022年9月1日

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