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イエメン:紛争でさらに苦難を強いられる障がい者数百万人

2019年12月14日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イエメン
トピック:地域紛争

イエメンの障がい者は、長年にわたる紛争に苦しめられてきただけでなく、国連が「世界最悪の人道危機」と呼ぶ事態の中で見捨てられてきた人たちでもある。

アムネスティは、半年をかけてイエメンの南部3地域で関係者100人近くに取材し、障がい者53人にその体験談をつぶさに聞き取りをした。

イエメンには、少なくとも450万人(人口の15パーセント)の障がい者がいるといわれる。調査により、戦闘に巻き込まれ避難を余儀なくされた障がい者は、障がいを持つが故にさまざまな問題に直面していることがわかった。

世界の援助国、国連、人道支援組織は、彼ら障がい者が最も基本的な生活を送るうえでの障害を取り除く取り組みを強化しなければならない。

紛争と非難

彼らの多くは、車椅子や歩行補助具を失っているため、戦火を逃れるための移動は、心身とも疲労困憊する。頼れるのは、家族や友人だけだ。

ミグダッド・アリ・アブドラさん(18歳)は、運動機能と意思の疎通に不自由があった。昨年初め、紛争に巻き込まれ、18時間かけて避難民キャンプに移動した。道中はバスを何度も乗り継ぎその度に隣人に抱えて運んでもらわなければならなかった。

家族と別れ別れになった障がい者もいた。混乱の中でばらばらになったり、一緒での行動は無理だという家族の判断でやむなく置き去りにされたりした。一緒に避難したとしても、過酷な移動で体調を崩し、障がいが悪化することもあった。

攻撃を事前に通告されていれば、負傷せず、こんな体にならなかったと嘆く人たちもいた。

避難民キャンプにも課題がある。障がい者にとって仮設トイレが使いづらかったり、支援物資の配給場所が遠くて、自力で行けなかったりする事態があった。運動機能に障がいのある男性(75才)は、「トイレに行くときは息子の助けを借りる。ただ、体が重たいので、体を引きずられた」と話した。

切り捨てられるニーズ

イエメンは、障がい者権利条約を批准し、国内法でも障がい者を保護している。世界保健機構は、イエメンには少なくとも450万人の障がい者がいると推定するが、長年の紛争で障がい者の数は、もっと多いといわれている。

ところが、紛争による混乱で公的医療と社会福祉の制度が機能せず、障がい者が必要なサービスを受けられない事態に陥っている。

多くの障がい者は公的手当に頼るが、補助を受けても食事に充てるのが精いっぱいで、薬や大人用のおむつまでは買えない。障がいのある家族を支えるため、身の回りの物を売ったり、家賃の支払いを遅らせたりしてやりくりしている家もある。

てんかんと脊髄性筋萎縮症を患う幼児を持つ母親は、家財を売って得た収入で医者に診てもらったが、子どもが一向に良くならず、「自分の腎臓を売って子どもの薬や靴を買ってやりたい」と話していた。

車いすや補助具は不足しており、たとえ持っていたとしても、避難民キャンプの荒涼とした地形には適していないことが多い。

イエメンの平均年齢は25歳だが、この25年で武力衝突は14回もあった。繰り返される紛争で、かなりの人が深刻なトラウマを抱えている。しかし、同国の精神科医は40人のみ、しかもそのほとんどが都心部に集中するため、医者不足もまた深刻な課題だ。

障がい者を問題解決の当事者に

イエメンでの人道支援は困難を極める。それだけに、人道組織には状況改善に直接結びつくシンプルな行動が求められる。

障がい者一人ひとりについて、彼らの状況やニーズにかかわるデータを収集・分析することもその一つだ。また、障がい者の支援内容や支援方法を検討する段階で、障がい者を巻き込み、意思決定に参加させることも、大きな意味を持つ。

障がい者は国を問わず、自分たちの問題に当事者としての参加を求める。これは当然のことであり、イエメンも例外ではない。

国際援助国は、人道支援のために十分に拠出し、さらに、障がい者の問題にその当事者が関与できるように働きかけなければならない。

障がい者本人からの聞き取り、当事者が使いやすいと感じる補助具の提供、個別ニーズに対応するトイレの設置など、細かな取り組みが、問題の解消に大きな役割を果たすことを忘れてはならない。

アムネスティ国際ニュース
2019年12月3日

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