- 2015年9月 9日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:
9月1日、カリフォルニア州に対して囚人が起こしていた連邦レベルの集団訴訟は、州が刑務所での独房使用制限を受け入れることで決着した。これにより、同州では今後、独房への無期限収監やギャングと関わりがあるというだけでの独居拘禁がなくなる。また、独房の使用は、重大な犯罪を犯した場合のみに限定される。
この決着は、長期間独房に置かれたことで悪夢にさいなまれ続けた囚人やその家族の、長年にわたる闘いの勝利だった。そして最も過酷な状況で強靭な精神力を発揮してきた証である。
2012年、アムネスティは同州の複数の独房施設での状況を詳しく調査した。その結果、囚人の処遇が、国際法違反である「残虐で非人道的で品位を傷つける取り扱い」に相当するものであると判明した。
また、アムネスティは昨年、連邦刑務所の1つであるコロラド州フローレンス近郊にある最も警備が厳重な連邦刑務所の収監状況を調べた。1日22~24時間、独房に置かれている囚人の身体的、心理的な影響を検証したところ、過酷な処遇により、極度の自傷行為や自殺する者がいた。また、長期間の独房生活により、不安、抑うつ、不眠、過緊張、妄想、知覚障害の精神症状が生じていた。
今回の成果の意義は、いくら強調してもしすぎることはない。なにしろ同州は、他のどの州よりも多くの囚人を長期間、独房に留め置いてきた。しかし、カリフォルニア州での前進を、単なる1つの勝利で終わらせてはならない。これをきっかけに、米全土で刑務所の抜本的改革が進められるべきである。どの州でも、誰でも、数十年間も独房でとがめを受けることがないよう、措置を取る機会である。
アムネスティ国際ニュース
2015年9月2日
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