チュニジア:LGBTI嫌悪を象徴する同性愛の有罪判決

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2015年12月18日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:チュニジア
トピック:性的指向と性自認

チュニジアで男性6人が男性同士の性行為の罪で実刑3年の判決を受けた。判決は、LGBTI(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・インターセックス)の人びとに対する国の根深い差別を象徴している。

6人は肛門検査を受け、その後に有罪判決を受けたとされる。アムネスティ・インターナショナルは、検査が意に反していた場合、虐待に当たると考える。

有罪判決は、言語道断だ。とくに今は、同国の人権団体らが同性間の性的関係を犯罪にすることを非難する声が拡大しているときだ。

性的指向や同意の上での成人間の性行為を理由に、なんびとも収監されてはならない。

さらに、今回の有罪判決は、LGBTIの人びとが、性と性自認の権利を享受するまでの道のりがいかに遠いかを示した。

ケルアン市の第1裁判所は、刑法第230条に基づき6人に有罪判決を下し、最長に当たる3年の刑を科した。その1人は、所有するパソコンにポルノ動画が入っていたことがわいせつ罪に当たるとして、さらに6カ月を加算された。刑法230条は、男性間の性行為と女性間の同性愛を犯罪としている。

LGBTIの活動家によると、6人は12月2日、集まっていたところに警察の強制捜査を受け、逮捕された。出廷は12月10日だった。弁護士がついたのは、1人だけだった。

実刑のほか、刑期満了後の5年間は、ケルアンでの居住を禁じられた。この事件に関わった弁護士によると、この居住禁止は近年では初めてのケースだという。

これらの刑罰は、同国で同性愛がいかに嫌悪されているかを如実に物語る。市内の居住の禁止は、さらに嫌悪を助長する問題の前例となりうる。

チュニジアの憲法は、LGBTIの人びとの保護措置や、私生活の権利や表現・思想・意見の自由の権利の保護措置も盛り込んでいる。今回の有罪判決は、その憲法を踏みにじっている。

何よりもまず、刑法を徹底的に見直し、合意に基づく同性関係を非犯罪化することが肝要である。さもなければ、市民を暴力から保護し、差別から守るという希望の実現は、ありえない。

アムネスティは、性的指向や性自認で収監されている人を良心の囚人とみなし、同国に対して彼らの有罪判決を直ちに破棄し、釈放することを強く求めている。

アムネスティ国際ニュース
2015年12月14日

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