チュニジア:標的にされる弁護士 損なわれる弁護の権利

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2024年4月 9日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:チュニジア
トピック:

職務を遂行しているに過ぎない弁護士に対して、チュニジア当局が法的手続きや行動などで不当な圧力をかける事態が増えている。当局による弁護士への嫌がらせや脅しは、弁護士の権利を侵害し、人権侵害の被害の申し立てや救済の機会を損なう。

当局は、野党系の議員や活動家、人権侵害の被害者を弁護する、少なくとも20人の弁護士の捜査を進めている。

容疑は、「他人を不快にさせる」「根拠もなく公務員を違法行為で告発」「弁護士としての職務を放棄」、「公務員に対する暴言」、「フェイクニュースの拡散」などで、いずれもでっち上げだ。これらの罪状は、それぞれ電気通信法、刑法、政令に定められている。有罪なら、最高20年の禁錮刑と多額の罰金を科される可能性がある。

当局が法律職に就く人たちの独立性を揺るがし、人権侵害の被害者の弁護人を標的にすることで、弁護権と公正な裁判の権利がますます侵害されることになる。当局は、平和的に人権を行使しただけで捜査を受けている弁護士20人に対する嫌がらせをやめ、弁護士が当局の干渉を受けることなく職務を遂行し、自由な発言ができるようにしなければならない。

20人のうちの1人が、注目の「陰謀事件」で拘束された6人の野党議員の弁護団のメンバーであるエシド弁護士だ。エシドさんは記者会見で「陰謀事件」の捜査記録にある日付と事実に食い違いがあり、文書が改ざんされた可能性がある、と主張したことがきっかけで、法務大臣に告訴された。そして、「インターネットでの他人を傷つけた」(電気通信法違反)、「根拠もなく公務員を違法行為で告発した」(刑法違反)として裁判にかけられたが、チュニス第一審裁判所は、3月29日にエシド弁護士に無罪判決を言い渡した。

他の事例では、野党エンナハダのヌルディンヌ・ビリ議員の弁護団の14人が、国家警備隊と口論になり、その後、同隊員に告訴され、捜査を受けた。

また、弁護士に対する一連の捜査のうち4件は、弁護士が法務大臣を批判するか、汚職の疑いをかけた直後に始まった。

弁護の職務を果たして標的にされるのは司法の茶番であり、弁護士を含め誰にも人権を享受する権利があることを忘れてはならない。自由、人身の安全、表現の自由への権利などは、市民的及び政治的権利に関する国際規約、またチュニジアが加盟するアフリカ人権憲章で保障されている。

裁判官と弁護士の独立に関する国連特別報告者は、検察官に対し、「弁護士がその職務を遂行することで犯罪者とみなされるおそれがある状況や事例を注意深く監視し、そのような事例の発生時は、適切な命令を出すことで、独立した立場と表現の自由を行使して国家の公務員や機関を批判した法曹関係者が、悪意ある検察官に起訴されることがないようにすべきだ」と求めている。

アムネスティ国際ニュース
2024年3月29日

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