- 2016年3月25日
- [日本支部声明]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
アムネスティ・インターナショナル日本は、本日、福岡拘置所の吉田純子さんと大阪拘置所の鎌田安利さんに死刑が執行されたことに対して強く抗議する。
岩城光英法務大臣は、昨年10月に就任してから12月に2名をすでに執行し、その3カ月後である本日に2名、計4名というハイペースで執行を進めている。安倍政権下では、2006年の第一次安倍内閣と合わせて実に26人が処刑されたことになる。近年の政権では、極めて突出した執行数であり政権が命を軽視していることの表れである。
鎌田安利さんは75歳という高齢であった。高齢者の死刑囚に対する死刑執行は、国際的には未成年者や精神疾患を有する者に並び、残虐であるため禁止すべきとされている。
世界では事実上死刑を廃止している国を含めると、140カ国と大多数が死刑廃止国である。OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で死刑制度を維持しているのは、日本以外では米国だけである。その米国でも、死刑の判決数・執行数は激減し、毎年のように死刑を廃止する州が増えており、死刑廃止へ舵を切っている。
国際的には、この残虐で非人道的な刑罰を維持することは、死刑廃止の潮流に対して背を背け、人権を無視した少数国であると見なされる。国際社会をリードする役割を担うG7伊勢志摩サミットのホスト国として、今回の死刑の執行は極めて残念である。
死刑は生きる権利の侵害であり、残虐で非人道的な人の尊厳を傷つける刑罰である。アムネスティは日本政府に対し、死刑廃止への第一歩として公式に死刑の執行停止措置を導入し、全社会的な議論を速やかに開始することを要請する。
2016年3月25日
アムネスティ・インターナショナル日本
※死刑執行抗議声明における「敬称」について アムネスティ日本は、現在、ニュースリリースや公式声明などで使用する敬称を、原則として「さん」に統一しています。また、人権擁護団体として、人間はす べて平等であるという原則に基づいて活動しており、死刑確定者とその他の人々を差別しない、差別してはならない、という立場に立っています。そのため、死刑確定者や執行された人の敬称も原則として「さん」を使用しています。
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