インドネシア:タミル人難民を銃で海洋へ追い返す

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2016年6月23日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:インドネシア
トピック:難民と移民

インドネシアのアチェ州で、警官がスリランカのタミル人難民40人以上を威嚇発砲して沖合に追い返した。この人命を危険にさらす行為は、重大な国際法違反である。

同国の副大統領は、州当局に対し難民らに収容場所の提供を指示していたが、入国管理事務所、警察、海軍はこれに従わず、無視する結果となった。そのうえ、国連難民高等弁務官事務所が、現地に待機しており、庇護希望者を面接して、身元を確認した上で、身分を決定する手はずを整えていた。国と州当局のしっかりした連携があれば、難民らは無事上陸できた上、希望者は国連難民事務所とも面接することができたはずだった。

スリランカの少数民族であるタミル人は、長年の迫害を逃れるために、船で国を脱出してオーストラリアを目指したという。彼らを待っていたのは、3週間以上の危険な航海だった。インドネシアのアチェ州の沿岸に近づいたころ天候が悪化し、船は座礁した。

そして、7月16日、海岸を走るタミル人女性数人に対して、警官は威嚇射撃をした。翌日には、船に戻された。船に乗っていた人たちの中には、臨月の女性や子ども5人もいた。

同日、現地の入国管理事務所は、「タミル人らの上陸は認められない」と語った。彼らが目指したのはオーストラリアのクリスマス島だった。

警察によれば、食料を提供し、船を修理した上で、船を国際水域までもどす手筈となっているとのことだった。

昨年、アチェ州の役人・住民は、アンダマン海で座礁していた船上の難民ら数百人を救出した。今回の対応は、そのときの善意を反故にするものだ。藁にもすがる人びとを船に戻し、再び絶望的な状況に追いやったのだ。

4月の国連人権委員会の指摘によれば、スリランカでは少数民族タミル人が、テロ防止法(PTA)により多数が拘束されている。この拘束は、スリランカ人権委員会が定めた適正手続きの最低基準も満たしていない。タミル人は、国内の北部と東部で今なお根強く残る、タミル人を監視する風潮を強く危惧している。

アムネスティ国際ニュース
2016年6月17日

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