- 2016年7月 1日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:モロッコ/西サハラ
- トピック:
市民ジャーナリストにスマホで記事を発信できるアプリの使い方を指導したとして、ジャーナリストや活動家ら7人が、起訴され、裁判にかけられた。この裁判をきっかけに、今後表現の自由が制限される危険性がある。
7人は、市民が記事を発信することができるスマホアプリの講座を開催した。
この裁判は、モロッコが報道の自由を守るのか制限するのか、重大な試金石となる。ジャーナリストや市民が自由に情報発信することが、国家の治安を脅かすとして起訴され、投獄される可能性がある。非常に気がかりだ。
歴史家のマーティ・モンジブさんも被告の一人だ。起訴の罪状は、国家の治安を脅かし、市民の義務である国と制度に対する忠誠を脅かしたことで、これは刑法第206条で規定された犯罪である。有罪なら、最高5年の実刑を受ける。
モンジブさんはまた、詐欺罪にも問われている。ジャーナリストのマリア・モウクリムさんとラシッド・タリクさんは、関係機関に通知せずに外国から資金を受けた容疑だった。
アムネスティ・インターナショナルは、当局に対してこれらの起訴を取り下げるよう要請している。
この数カ月間、政府は、刑法の抜本改正など司法改革の断行を宣言してきた。6月9日に政府が承認した刑法改正案は、人権への前向きな修正点がいくつかあるものの、表現の自由の侵害に関わる第206条は残したままで、極めて問題である。
当局は7人の告訴を、直ちに取り下げるべきだ。第206条を削除あるいは修正し、これ以上、この条文が、表現の自由を制限するために利用されないようにすべきだ。
アプリStoryMakerを使うと、市民ジャーナリストがニュースを書いて、それを発信することができる。匿名でも可能だ。フリー・プレス・アンリミテッド(FPU)、ガーディアン企画、スモールワールド・ニュースが開発した。FPUは最近、当局に面会し、業務内容とこのアプリについて説明したいと申し出たが、回答はないという。FPUも、7人の告訴を取り下げ、表現の自由を公判に付すことをやめるよう要請している。
アムネスティ国際ニュース
2016年6月28日
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