南アフリカ:マリカナ鉱山の悲劇から4年 労働者の住環境は改善されぬまま

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2016年8月24日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:南アフリカ
トピック:企業の社会的責任

南アフリカで操業する英国のプラチナ生産大手ロンミン社は、2012年の労働者ストライキでの大惨事が大きな教訓となったにも関わらず、いまだに労働者に十分な住宅を提供していない。アムネスティ・インターナショナルの最近の調査でわかった。

2012年8月16日、マリカナ鉱山の労働者が、賃金と住宅などの環境改善を求めて、ストを行った。出動した警察の発砲で34人が射殺され、70人以上が重軽症を負った。

同鉱山には、ロンミン社の労働者およそ2万人が住み込みで働いている。大惨事の発端となった劣悪な居住環境は、いまだにほとんど変わっていない。同社は、住宅建設を確約していたにもかかわらずである。

ロンミン社は、スト以前からこの状況を承知しており、2006年の雇用計画に沿って2011年までに5,500世帯の家屋を建て、単身者用簡易宿舎を家族や単身者用の家屋に改築すると確約していた。雇用計画は国の資源開発に係る法律に従って策定された方針で、法的な拘束を受けていた。

しかし2011年までに建てられたのは、モデルハウス3軒、簡易宿舎114軒のうちの60軒を改築しただけだった。

2012年、労働者がストを始めた時点で、かつての確約が果されておらず、その法的義務にすでに違反していることは明らかであった。

政府が設置した調査委員会で証言した同社の幹部は、「生活環境は、まったく最悪だ」と述べ、幹部らに、社と従業者間の関係と信頼の崩壊の責任の一端があることを認めた。

にもかかわらず、スト後も状況はほとんど変わらず、労働者数千人はいまだに鉱山に隣接する無認可の地域に住んでいる。

「しょっちゅう水が足りず、しょっちゅう停電する。だから、水も電気もない日が何日も続く。まったく異常としか言えない。屋外のトイレもひどい。ハエが飛び回っていて、小屋の中まで入ってくる」

今年、アムネスティは、同社の複数の幹部に口頭と書簡で、今も未解決の住宅問題を同社はどう説明するのか、対策を講じるつもりなのかなどの質問をぶつけた。それに対して、同社は13,500人の鉱山労働者に本来の宿泊設備が不足していることを認めた。

その言い分には矛盾が多く、嘘や言い逃れもあったが、同様の説明が株主にもなされてきた。幹部らは、2006年の雇用計画で約束した5,500軒の建設は、初めからそのつもりはなかったと話した。なんとも衝撃的な告白である。

現行の2014年から2018年までの計画には、「特に劣悪な環境にある住宅」に対する2つのみの施策が入っているが、それさえもほとんど進展なく、「経済状況の悪化で見直しが必要」とのことだった。

同社の言い分はつじつまが合わないし、失策の繰り返しである。何と言っても、2012年以降、1軒も新規の建設がなかったのは最悪である。

アムネスティは、住宅5,500軒の供給不履行は、誓約違反であり、調査委員会の勧告に沿った調査をし、必要なら制裁を課すよう、所轄の大臣に求めている。同社はまた、新たな雇用計画に従い、必要な住宅を供給するため、最新の建設案を所轄官庁に提出すべきである。

背景情報

ロンミン社は1909年に英国で登記された。主な事業拠点を、南アフリカのノースウェスト州に置く。マリカナ鉱山での生産量は、同社総生産量の95%を占める。

2006年の雇用計画に盛り込まれた簡易宿泊所改築は、2014年までに完了した。

アムネスティ国際ニュース
2016年8月15日

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