ナイジェリア:ラゴスで大規模強制立ち退き迫る 数万人が家を失う恐れ

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2016年10月18日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ナイジェリア
トピック:強制立ち退き

ナイジェリア・ラゴス州は10月13日から3日以内に沿岸部の違法な建物を取り壊すことを計画しているが、直ちに破棄すべきだ。実施されれば数万人が家を失い、路頭に迷いかねない。

入江と海岸沿いには数万人が住んでいる。大多数が貧しい漁民である彼らに、強制立ち退きが迫っている。同州で相次ぐ誘拐事件を受けて州は治安の改善が必要だとして、違法建築物を取り壊すことを決めていた。

通知期間はわずか1週間で、実質的な協議も補償や代替住宅の提供もなかった。この状況で一方的に住民を立ち退かせるのは、国際人権法の重大な違反である。

アムネスティは州政府に対し、計画中止と、強制立ち退きを制裁や法執行の手段としないよう求めている。

立ち退き命令が正当だとしても、その実施は、妥当性と相応の理由を求める国際法に厳密に沿ったものでなければならない。政府は、対象とする住民と協議し、立ち退きにかわる現実的な策を検討しなければならない。もし、同計画が執行されるとしても、対象住民には、必ず書面で通知し、妥当な猶予期間をおいて実施されるべきである。

また、救済策や補償などの適切な保護措置も取られなければならない。住民が自力で新たな家を見つけられなければ、州が代替住居を保障すべきである。ホームレスにするなど論外である。

背景情報

10月9日、ロゴス州知事が現地を視察し「すべてのバラック住宅を1週間以内に取り崩す」と宣言した。 州の担当者がアムネスティに語ったところによると、沿岸の全戸が対象だという。州は、子どもの誘拐事件が多発する背景には、バラック住宅による治安不安があるとしている。 同州の公式サイトには、知事の指示のもと、治安回復にあらゆる手を打ってきたが、この違法バラックの取り崩しが最後の手段だとしている。

ナイジェリアでは2000年以降、各地で200万人以上の住民が、強制的に自宅を取り崩されている。強制執行にあたり、事前協議や補償、代替住宅の提供はない。立ち退かされた住民は社会の周縁に追いやられ、飲み水も保健サービスも教育も受けられていない。

2015年9月には、ラゴス州の一部の地域で住民約10,200人が立ち退きを強制され、その多くが今もホームレスのままだ。補償も代替住宅も受けられていない。同国は、住居が保障され、強制立ち退きを受けない権利の実現を求める社会権規約や他の国際条約に加盟している。

アムネスティ国際ニュース
2016年10月13日

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