エジプト:拷問犠牲者のリハビリ施設 資産が凍結される

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2016年11月16日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:エジプト
トピック:

取り調べなどでの暴行の被害者のためのリハビリ施設として知られるエル・ナデーム・センターの銀行口座が中央銀行の命令で凍結された。センターがそのことに気づいたのは、10日のことだった。当局は凍結措置をただちに撤回するべきだ。

同センターは、被害者には欠かせないカウンセリングや法的支援を提供している診療所だ。拷問被害者や強制失踪者の家族など数百人が、この施設を利用している。金融資産の凍結は、治療業務の継続を阻み、被害者が治療や補償を受ける権利を奪うものだ。

この件は、国に批判的とみなした活動を徹底的に軽視する当局の姿勢を象徴している。エル・ナデーム・センターはまだ中央銀行から文書を受け取っていないが、その文書には、口座の凍結は、センターがNGO法に適合するまで続けられると書かれている。この法律は、ムバラク政権時代に制定された抑圧的なものだった。

リハビリ施設であるエル・ナデーム・センターは、保健省から認可を受けた診療所として運営されており、NGO法の適用外だ。同センターが虐待被害者や強制失踪者の家族を支援していることを快く思ってこなかった当局が、報復措置として、口座凍結で活動停止に追い込もうとしていると思われる。

当局が、同センターを妨害するのは、今回が初めてではない。2月、当局はやはり理由もなく、センターを閉鎖する行政命令を出した。その命令に対する異議申し立てが現在、行政裁判所で行われている。

また、数か月前には、よく知られた人権擁護活動団体の個人と団体の口座を凍結し、業務を妨害している。

暴行の被害者の治療行為を妨害することは、到底許しがたい。当局がやるべきことは同センターへの攻撃ではなく、拘禁時の暴行を防ぐ保護措置の導入や強制失踪の撲滅だ。

背景情報

今回の資産凍結の決定は、同国の法律で義務づけられているにもかかわらず、事前の通知はなく、誤解を正したり、法的擁護の準備をする時間がなかった。銀行とは、過去10日間、定期的に接触しており、この間、口座更新のための書類を要求された際も、提出していた。

センターには、法廷で命令に対する異議申し立ての機会を与えられるべきであり、審理中は、口座利用に制限をかけてはならない。

アムネスティ国際ニュース
2016年11月10日

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