ナイジェリア:火事と家屋破壊で3万人が家を失う

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2016年11月19日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ナイジェリア
トピック:強制立ち退き

ナイジェリアのラゴス州レッキのオトド・グバメ地区で11月9日、何者かが放った火で家屋が延焼し類焼し、3万人もの住民が焼きだされた。州の違法住宅撤収計画に裁判所が停止命令を出していたにもかかわらず、州当局が強行した形だ。州は、早急に家を失った住民に代替の家屋を提供しなければならない。

放火犯は不明だが、その場にいた警官は火事を見ているだけで消火活動をせず、さらに火を消そうとした住民を追い払った。

火事が収まった同日深夜、警察と州担当者らが、ブルドーザーで家屋の取り壊し作業を始めた。その際、警察が再び火を放ち、数千人を家から強制退去させたという。住民は、自分たちの住まいや所有物が文字通り一夜で瓦礫になる様子を、ただ呆然と見ているしかなかった。

州政府が、州沿岸部にある同地域の無許可住宅の撤去を進めていることに対し、裁判所は今回の事件の2日前に、差し止め命令を出していた。にもかかわらず取り崩しを強行した今回の州の対応は、言語道断の法律違反である。

今回の取り壊しには、州の建築物を管理する部門も加わっていた。取り崩し翌日の警察の発表でも、州の都市計画担当部門が、消失を免れたスラムの取り崩しに関わっていることを認めた。

住民の話では、11月11日の朝にも警官が残っていた建物を取り壊したという。今回の件で、自分たちの住居も取り壊されるのではと、近隣住民は恐れている。そのうちの1人は、取り壊しチームがブルドーザーを持ってその朝やってきた、とアムネスティに語った。

10月に州は、沿岸地域の、すべての違法家屋の取り壊しを発表した。実行されれば数万人が家を失い、路頭に迷う。当局は、違法住宅は治安上の脅威で、誘拐事件の温床になっているとした。しかし、取り崩し計画の手順や代替住宅の見通しを示してこなかった。

10月31日、ラゴス州の住宅委員会は、州知事に対し計画の中止を要請し、11月7日、州高等裁判所は暫定的な差し止め命令を出した。その結果、州は取り壊し作業を執行できないはずだった。

アムネスティは、家屋取り壊しをやめ、国際法の保護条項を盛り込んだ法令が整うまで、撤去計画を棚上げにするよう求めている。

国際法では、夜間に追い出すことや放火など不動産を故意に破壊して退去を迫ることは禁じられている。警察が取り壊しで、家屋などの所有物を故意に燃やすことは、残酷で非人間的な行為にあたるとしており、違反者は法の裁きを受けることになる。

アムネスティ国際ニュース
2016年11月11日

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