南スーダン:武器禁輸措置 国連安保理で可決されず

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2016年12月28日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:南スーダン
トピック:地域紛争

国連安全保障理事会で、南スーダンへの武器禁輸と同国高官3人への渡航禁止・資産凍結の決議案が否決された。8カ国が棄権し、賛成7票であったため、可決に必要な賛成9票を獲得できなかった。

この結果に対して、国際NGOの7団体が、深い遺憾の意を表明するとともに、共同で声明を出した。

「国連安保理が、武器禁輸と重大な人権侵害を行った高官の制裁という積年の思いを実行するだろうと、南スーダン市民は当然の期待を抱いていた」とイナフ・プロジェクトの創設者ジョン・プレンダーガスト代表は語った。

声明を出した7団体は、アムネスティ・インターナショナル、コントロール・アームズ、イナフ・プロジェクト、保護する責任グローバルセンター、ヒューマニティ・ユナイテッド、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、PAX。

2013年12月15日内戦状態が始まって以来、アフリカ連合と国連の調査員は、南スーダンでの紛争当事者による民間人の殺害や強かん、子どもの強制徴兵などの戦争犯罪を明らかにしてきた。以前は内戦とは無縁であった地域でこの数カ月、暴力、幹部のヘイトスピーチ、民間人襲撃などが増加している。民族性を理由に標的となった事件もある。

国連安保理は、国連事務総長と集団殺害問題の専門家ら国連指導部による勧告に、結束して対応することができなかった。この点が特に懸念される。

1月に就任する新事務総長と新理事国5カ国のもと、再び勧告に向き合うことを切に望む。

7団体が注目したのは、この12月に南スーダンのサルバ・キール大統領が発表した包括的な国民対話の声明を、複数の理事国が決議案を支持しない理由として挙げたことだ。しかし、2015年8月の和平合意に至る過程で、NGO、宗教指導者、女性らの役割が非常に限定的であったこと、また、南スーダンでは表現と集会の自由が厳しく制限されていることなどを考えると、こうした政府の保証には検証が必要である。

「メディアが政治情勢を報道できず、多くの市民活動家が身の危険を感じて近隣国に逃れている国で、対話に参加できる者などいるのだろうか」 と、ヒューマニティ・ユナイテッドのデービット・アブラモウイッツ代表は問う。

今回の否決を受けて、7団体は、政府間開発機構(IGAD)がより大きな責任を負って、南スーダンにおける国際法が定める犯罪やその他の重大な違反行為、人権侵害、加害者の不処罰に終止符を打たなければならない、と述べた。

7団体は安保理に対し、一般市民への人権侵害を食い止め、これ以上の犠牲者を出さないようにするために、そして不処罰を闘う取り組みを支援するために、アフリカ連合および地域の安全保障機構であるIGADと協力してもっと努力するよう要請した。その実現のためには、高度な能力をもち、公正で独立したハイブリッド法廷を速やかに設置することである。

アムネスティ国際ニュース
2016年12月23日

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