- 2017年1月11日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:
イスラエルの軍事法廷は1月4日、昨年3月にパレスチナ人殺害で罪を問われていたエロール・アザリア兵士に、軍の交戦規則に違反したとして有罪判決を下した。被害者のパレスチナ人は、イスラエル軍兵士をナイフで刺す傷害事件に関与したとされていた。
イスラエルでは、国際法上の犯罪に当たるような過度で不当な武力が、兵士により行使される状況が長らく続いており、その兵士が起訴されることは非常にまれだった。この判決は、正義への小さな一歩であり、違法な殺害を犯せば、罪を問われるという先例になることを期待したい。
殺害現場の証拠ビデオでは、アザリア兵士が正当な理由もなく、負傷しているパレスチナ人を撃ち殺しているように見えた。裁判官は、銃撃は以前起きたナイフ襲撃への、単なる復讐心からにすぎないと、断定した。兵士が身に危険が迫まっていない状況で被拘束者を殺害することは、超法規的処刑に当たり、国際法の下での犯罪になる。
被告は、被拘束者が爆弾付きベストを着ている可能性があり自己防衛だったと主張したが、きっぱりと退けられた。
2015年10月以降、西岸地区では、パレスチナ人によるイスラエル兵や警官、民間人への襲撃事件が急増する一方、被占領パレスチナ地域のイスラエル軍による超法規的処刑が多発した。その結果、昨年1年間で、少なくとも、イスラエル人16名とパレスチナ人110名が犠牲になった。
アザリア兵士の殺害行為は氷山の一角に過ぎない。私たちは、イスラエル軍による違法な殺害を何度も目の当たりにしてきた。しかし加害者が罪に問われることがほとんどないため、違法な殺害でも許されるという風潮が広がっていった。
違法な殺害の悪循環を断つには、違反行為をした者の責任を問うことが絶対不可欠である。
アムネスティ・インターナショナルは昨年、明らかに軍がパレスチナ人を違法に殺害したと見られる事件20件以上を調べ、その報告書を9月にイスラエル当局に提出した。それらの事件のうち少なくとも15件は、身に危険が迫っていない状況で故意に銃殺したものだった。
アムネスティ国際ニュース
2017年1月4日
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