イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:イスラエル国会の死刑法採択 EUによる緊急措置が必要

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2026年4月 8日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:死刑廃止

イスラエルおよび被占領パレスチナ地域で長年にわたり活動してきた人道・人権団体として、私たち31団体はイスラエル国会(クネセト)が、ヨルダン川西岸地区において事実上死刑を義務化し、その適用が実質的にパレスチナ人にのみ及ぶ法案を可決したことに、強い衝撃を受けている。

3月30日、クネセトはベン・グヴィル国家安全保障相の所属政党が提出した法案を可決し、軍事裁判所および民事裁判所の双方における死刑の適用範囲を拡大した。イスラエルの法律では、長年ジェノサイドや戦時下のスパイ行為に関して死刑を規定してきたが、1962年以来、死刑の執行は行われず死刑判決も出ていない。今回の新法は、重大な後退を意味するだけでなく、事実上、民族や国籍に基づいて死刑を科し、また基本的な法的保障を形骸化させるものであるという点でも後退を招いている。

東エルサレムを除くヨルダン川西岸地区では、同法により、イスラエル法の下でテロ行為と分類される故意の殺害で有罪となった者には、原則死刑が科され、法律には明記されていない「特別な事情」がある場合に限り、終身刑(のみ)が認められる。軍事裁判所は、検察側の請求がなくても、単純過半数で死刑を言い渡すことができる。判決は減刑や恩赦の対象とはならず、90日以内に執行されなければならない。特に注目すべきは、ヨルダン川西岸地区のイスラエル人入植者が、この規定の適用対象から明示的に除外されている点だ。

またイスラエル国内では、民事裁判所が、「イスラエル国家の存在を否定する」ことを目的に行われた故意の殺害に対し、死刑または終身刑を科すことができる。

したがって同法は、民族や国籍について明確に言及はしていないものの、実質的にはパレスチナ人のみを標的とするよう意図されたものだ。また、通常の刑事司法の枠組みから切り離された絞首刑による特例的で秘密性の高い死刑執行体制を導入しており、弁護人への接触や外部による監視も著しく制限されている。

欧州連合(EU)は一貫して、死刑はいかなる状況においても残虐で非人道的なものであり、人間の尊厳とは相容れないとの立場をとってきた。しかし、こうした原則的な立場を離れて考えても、この新たなイスラエルの法律は、死刑に直面する人びとの権利を保護するために国際社会が認めてきた基本的な保障措置に違反している。その差別的な性質と適正手続きの保証の欠如は、生命に対する権利、およびジュネーブ第4条約、ハーグ条約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、拷問等禁止条約などの国際人道法および国際人権法に定められた保護に反するものだ。

イスラエルに対し方針転換を促すEUとその加盟国による外交的働きかけは、これまでのところ効果を上げていない。今回の看過しがたい事態は、国連調査委員会や多数のパレスチナ団体、イスラエル団体、国際団体、そして独立した専門家らによってジェノサイドに該当すると指摘してきたガザで進行中の人為的な人道的大惨事のさなかで起きている。また、2024年7月19日の勧告的意見で国際司法裁判所が認めたように、ヨルダン川西岸地区の事実上の併合が加速する状況の中で進められている。この死刑法の採択は、こうしたパレスチナ人に対する差別的な政策と慣行の一環であり、同勧告的意見において国際司法裁判所が人種隔離およびアパルトヘイトを禁じる人種差別撤廃条約第3条に違反すると認定した状況の延長線上にある。

こうした政策を推し進める中で、イスラエルはEUが示してきた明確な一線をすでに越えている。具体的には、将来のパレスチナ国家樹立を阻止する意図で進めているヨルダン川西岸地区を分断するE1地区での入植地建設、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の活動禁止およびEUの拠出金によって建設・運営されている学校や診療所などの同機関の施設への攻撃、国際NGOを排除する制限的な登録制度、東エルサレムにおけるパレスチナ人住民の強制立ち退き、西岸地区における数万人規模のパレスチナ人の強制移住、EU資金によるものも含むパレスチナ人の住宅・インフラの大規模破壊、イスラエル治安部隊による人権侵害や国家が支援する入植者による暴力に対する恒常的な不処罰、パレスチナ人被拘禁者に対する広範かつ組織的な拷問や虐待の報告、宗教の自由に対する制限、ジャーナリストへの攻撃、EU当局者の立ち入り拒否などだ。

カラスEU外務・安全保障政策上級代表が3月31日の声明でも指摘したように、EU・イスラエル連合協定は、民主主義の原則の尊重をEU・イスラエル関係に不可欠な要素と定めている。2025年6月にEUが同協定第2条に規定された「人権と民主主義の原則の尊重に関する義務」に基づき実施した見直しでは、ガザおよび東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区でパレスチナ人に対する重大な人権侵害や戦争法規違反が行われたとして、イスラエルが人権上の義務に違反しているとの結論に至っている。

それから9カ月が経過し、もはや行動を先延ばしにする時間はない。EUは、自らの掲げる原則と法的義務を遵守し、最低限の即時措置として同協定の通商部分を停止するとともに、2025年9月にフォンデアライエン欧州委員長が提案したその他の措置を取るべきだ。

アムネスティ共同声明
2026年4月2日

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