中央アフリカ:特別刑事裁判所 資金不足で閉鎖の危機

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2026年2月26日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:中央アフリカ
トピック:

中央アフリカ共和国の特別刑事裁判所(SCC)は、資金不足のため、2026年に閉鎖されかねないという深刻な危機に直面している。閉鎖になれば、戦争犯罪および人道に対する罪の犠牲者、被害者数千人が、正義を勝ち取り賠償を受ける機会を奪われる可能性がある。アムネスティは、同裁判所が重要な活動を継続できるよう、各国に対し緊急財政支援を呼びかけている。

中央アフリカ共和国における紛争中に起きた国際法違反の犯罪を調査し起訴するために設置されたSCCは、各国や国連など国際機関からの任意拠出金のみに依存しており、過去1年間、大幅な予算削減に耐えてきた。追加資金がなければ、6月までに資金が枯渇する見込みだ。

2003年以来、暴力と武力紛争の波の中で、数千人もの中央アフリカ市民が死傷し、強かんされ、拉致され、身体に障がいを負い、避難を強いられ、あるいは住居を焼失した。これらの犠牲者・被害者にとって、SCCは正義への希望の象徴だったが、今やその希望が押しつぶされそうになっている。同裁判所では現在、15件の捜査と3件の裁判が進行しており、30名以上が指名手配されるなど、極めて重要な活動を展開している。閉鎖されれば、中央アフリカ共和国における不処罰との闘いにおいて壊滅的な後退となる。同裁判所は活動を継続しなければならない。

「被害者は自らの裁判に出られないでいる。裁判所が交通費や宿泊費を負担する手段を失ったためだ。公判が凍結されるか、あるいは単に放棄される可能性はもはや仮説ではなく、根拠ある懸念となっている。被害者は支援不足により正義が潰えることを恐れている」と、地元の被害者支援団体のメンバーは語る。

別の被害者団体の代表も、「資金の減少は深刻な影響をもたらしている。資金提供国はもはや私たちのニーズには応えていないが、そうした援助がどうしても必要なのだ。資金減少は最も直接的に関係する人たち、つまり正義を求める被害者たちに影響を与えている」と述べた。

資金不足による人員削減と最低限の運営状態

国連に次いで第2位の資金提供国であった米国の資金拠出停止の影響は深刻で、現在、資金を提供しているのは、平和維持持活動と開発機関を通じて資金援助する国連と欧州連盟(EU)のみである。国連は財政危機のため、2026年分の計画拠出金を保証できない状況にある。

この大幅な資金削減は、すでにSCCの機能に深刻な影響を及ぼしており、その存続自体が危ぶまれている。ひいては進行中の訴訟手続きや被害者・証人への支援に重大な影響がでるだろう。今年度については、EUのみが資金拠出を約束している。一部の欧州諸国も資金提供の可能性を検討中だが、新たな拠出を確約しておらず、その他の国々も同様に消極的だ。

アムネスティの調査によると、裁判所は2025年8月から9月にかけて、主に外国人専門家を対象として職員の4分の1を解雇せざるをえなかった。戦争犯罪や人道に対する罪に関連する事件は15件が捜査中だが、捜査担当の司法警察官チームは、従来4組あったものが現在1組しか残っていない。証人保護部門は職員の半数以上を失っており、証人に対する報復行為を防ぐ裁判所の能力が低下する可能性がある。

国際法に違反する犯罪の犠牲者・被害者は、真実、正義、賠償を受ける権利がある。アムネスティは中央アフリカ共和国のすべての関係国に対し、犠牲者・被害者への正義が実現されるよう、SCCへの財政的・人的資源の緊急拠出を要請する。こうした支援がなくては、加害者の不処罰がまん延するだろう。

中央アフリカ当局も努力はしているが、国内裁判所にはSCCに委ねられた任務を遂行するための資金も能力もない。もしSCCが、犯罪責任が最も重い指導者を放置し、最近の事件だけを対象として地位の低い少数の人物のみを逮捕・起訴して、閉鎖ということになれば使命の遂行に失敗し、中央アフリカの人びとの希望と期待を裏切ることになるだろう。

背景情報

2018年10月22日に発足した特別刑事裁判所(SCC)は、国連が支援するハイブリッド法廷であり、中央アフリカ人および外国人の検察官と裁判官で構成されている。

2022年4月19日、同裁判所は武装集団の元メンバー3人に対する戦争犯罪および人道に対する罪を問う初公判を開廷した。その後4件の裁判が行われ、うち2件は現在も控訴審段階にあり、他の2件は第一審で係属中である。

2024年、フランソワ・ボジゼ前大統領に対する逮捕状を出したが、逮捕はいまだされておらず、2026年1月に同氏欠席のまま裁判が始まった。他に、30人以上が、現時点で進行中の捜査または手続きに関連し、同裁判所により指名手配されている。

SCCの任務は5年だが1回限り更新が可能で、2023年10月22日に2期目が始まった。終了予定2028年10月となる。

アムネスティ国際ニュース
2026年2月11日

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