- 2019年1月22日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:死刑廃止
中国、遼寧省大連市の中級人民法院は1月14日、麻薬密輸罪に問われていたカナダ人男性、ロバート・シェレンベルグさんに死刑判決を言い渡した。
薬物犯罪に対する死刑の適用は、国際基準に反する不当な判決であり、裁判所は、この判決を破棄すべきである。
中国の死刑制度をめぐる実態は、秘密のベールに包まれているため、なぜ、このタイミングでの死刑判決なのか、というのが大方の疑問だろう。これまでも、政治色の強い、その結果が明らかな裁判で、公判が単なる見せ物にされることが多かった。
同中級人民法院は、昨年11月に懲役15年を言い渡していた。本人は容疑を否認していた。しかし、12月末の控訴審では、検察側が新たな証拠が見つかったとして、より重い刑を求めたため、審理が中級法院に差し戻され、今回の死刑判決となった。
突然の再度の審理と明らかに性急な判決は、同国の司法制度が抱える問題を象徴している。シェレンベルグさんは控訴する予定だが、その際は、検察側の新たな証拠への反論を準備する十分な時間が与えられることを望みたい。
中国の死刑に関わる数値は、国家機密扱いであるため、死刑執行数は定かではないが、世界で最多と推測される。薬物犯罪でも、相当数が死刑を執行されている。
国際法上では、死刑の適用は、最も重大な犯罪に限定され、薬物犯罪は、これに該当しない。各国は、薬物犯罪に死刑を科すことがないよう、自国の刑法を見直す義務がある。
アムネスティは、犯罪の内容や状況、有罪・無罪、個人の特質、死刑執行方法などを問わず、例外なく死刑に反対する。アムネスティは、過去40年にわたり死刑の全面廃止運動を続けてきた。
アムネスティ国際ニュース
2019年1月15日
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