- 2019年5月28日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:
天安門事件から30年を直前に控えたこの数週間、当局は、事件の犠牲者を追悼する動きを、恣意的拘束、自宅軟禁などで立て続けに封じている。当局は、こうした弾圧をやめるべきである。
天安門事件は、1989年6月3日から4日にかけて発生した。民主化を求めて天安門広場とその周辺に集まった市民が軍の部隊から発砲され、少なくとも数百人が犠牲になった。
事件から30年、政府は、正義を果たすどころか、相変わらず従来の抑圧的政策を推し進め、正義を求める声を徹底的に封殺している。しかし、いかなる政策も、市民から天安門の記憶を消し去ることはできない。何よりもまず、遺族を含む市民に、犠牲者の追悼を認めるべきである。
徹底的な検閲
当局は組織的な検閲を行い、天安門事件に関わるいかなる発言や動きも見逃さない。犠牲者を追悼する動きに出れば、嫌がらせや拘束などの制裁を受ける。
4月、陳兵(Chen Bing)さんは、天安門事件を想起させるラベルをボトルに貼った酒を販売して、騒乱挑発罪で3年半の実刑判決を受けた。仲間の3人、符海陸(Fu Hailu)さん、羅富譽(Luo Fuyu)さん、張隽勇(Zhang Junyong)さんも同じ罪で執行猶予付判決を受けた。
5月18日、天安門事件についてツイートした四川省の鄧傳斌 (Deng Chuanbin)さんは、騒乱挑発容疑で逮捕された。
5月20日、事件で当時17才の息子を失った丁子霖(Ding Zilin)さんは当局に、自宅のある北京から1,100キロ離れた江蘇省無錫市の郷里に移るよう命じられた。転居は、当局が政治的な警戒感を強める時期に、市民の口を封じ、外国メディアとの接触を断つ方法として、よく取られる手口だ。
丁さんは、事件の真相解明と賠償を求める犠牲者遺族の会「天安門の母たち」の発起人の1人だ。この数週間、丁さん以外の会員も、当局の監視下に置かれている。
天安門事件だけではない。政府は、あらゆる政権批判に弾圧の矛先を向けてきた。民主化や法改正を求める数多くの人権派弁護士や活動家を恣意的に逮捕し、隔離拘禁や虐待・拷問などで追い詰めてきた。
天安門事件から30年、事件の真相究明を求める犠牲者の親は高齢化し、彼らに残された時間は残り少なっている。
アムネスティは、中国政府に対してあらためて次の対応を要請する。
- 天安門事件で人権が侵害されたことを公に認める。
- 第三者による捜査を行い、捜査結果を公表し、人権侵害に加担した関係者を裁く。
- 犠牲者とその家族に賠償金を支払う。
- 天安門事件についての発言や犠牲者の追悼など、表現と集会の自由の権利の行使に対する嫌がらせや摘発をやめる。
アムネスティ国際ニュース
2019年5月27日
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