- 2019年7月 9日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イタリア
- トピック:難民と移民
イタリアの裁判所は、地中海で難民・移民の捜索・救助活動にあたるNGOシーウオッチの救助船船長カロラ・ラケッテさんを釈放する判決を下した。
ラケッテ船長は、救助した人びとを上陸させるために、繰り返しイタリアとマルタの当局に連絡し、上陸すべき港を指示するよう要請したが、いずれも拒否されたため、入港を強行した。
判決は、人権を擁護する人びとにとって朗報だ。ラケッテさんは、拘束を覚悟の上で人命保護に務めた。罪に問われるどころか、称賛されるべき行動だった。
地中海で救助した人びとを安全な港に運ぶことは、船長としての責務であり、ラケッテさんはその責務を果たそうとした。その責務は、国際法と国内法に規定されており、従って、イタリア当局による入港の拒否は、違法だ。
裁判官は、船長は海上の人命救助で責務を果たしたと裁定し、検察の主張を退けた。しかし、当局は、今もなお、非正規移動に便宜を図った容疑で船長を取り調べている。言語道断だ。
今回、適用された改正国家安全保障法(通称サルビーニ法)には、NGOの人命救助活動の阻止を可能にする厳格な対応が盛り込まれており、ラケッテさんに初めて適用された。改正法により、今後、海上での無用な死や治安が悪いリビアへの送還などが、さらに増加するだろう。
アムネスティは、シーウオッチや欧州の多くの人びととともに、ラケッテさんに対する起訴を取り下げるように求めている。
また、地中海の国際水域での人命救助では、欧州の国が常に速やかに対応し、国家間で協力して、近隣の安全な上陸地の選定と確保をすべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2019年7月2日
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