- 2019年10月 1日
- [日本支部声明]
- 国・地域:日本
- トピック:性的指向と性自認
アムネスティ・インターナショナル日本は、東京都が、性的指向及び性自認に特化した政策を、国及び全国の自治体に先立って策定することを歓迎します。そして、今後、国や全国の自治体における、性的指向及び性自認に基づく差別を禁止するための法整備や制度構築の推進において、東京都の基本計画が大きな影響を及ぼすことを期待しています。
施策の中で、啓発に力を入れるともに、相談体制の充実・強化が掲げられていることは評価に値します。一方で、具体的な課題解決に関する施策が不十分である点は改善が必要だと考えます。2018年10月に制定した「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」では、都、都民、事業者に対し性自認及び性的指向を理由とした不当な差別を禁じていますが、本計画には、差別に遭った場合の申し立てや被害者の救済・回復に関する施策が含まれておらず、差別禁止の実効性には懸念が残ります。
アムネスティ・インターナショナル日本は、本計画が性自認及び性的指向を理由とした差別撲滅につながるものとなるよう、条例違反に関する個人からの申し立てを受け付け、被害者の救済を図る、独立した機関の設置を施策の柱に加えるよう、東京都に要望します。
国際的な人権保障の枠組みでは、人権条約の実践を確実なものとするため、各国の履行を監視する国際的な機関があり、国内で人権侵害に対する救済が得られない場合には、直接、この国際機関に個人が申し立てできる制度があります。また、国内で申し立てを受理・調査し、救済を図るための独立した国内機関の設置も求められています。日本では、国際人権条約機関からの度重なる勧告およびアムネスティ・インターナショナルをはじめとする市民社会からの要請にもかかわらず、どちらの制度もいまだ導入されていません。この機会に、東京都が率先して、性的指向や性自認に基づく差別から被害者を救済するための独立した機関を設置し、国に先行して人権保護のための仕組みを整備していくことを、アムネスティ・インターナショナル日本は強く期待します。
※アムネスティ・インターナショナル日本は、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画素案の公表並びに意見募集に際し、上記の趣旨の意見書を東京都に提出しました。
2019年10月1日
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
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