エジプト:現政権で最大規模の摘発

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2019年10月15日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:エジプト
トピック:

エジプトのシーシー政権は、徹底的に政権批判の芽を摘む作戦に乗り出した。9月下旬、現政権下で最大級の取り締まりを行い、市民2,300人以上を逮捕した。逮捕された人たちのほとんどは、同一の事案で取り調べを受けており、公判が始まれば、同国で過去最大規模の裁判になると思われる。

エジプトでは政権批判が難しい環境にあったが、9月20日から各地で小規模なデモが発生した。その1週間後、当局は、次の抗議行動の芽をつぶすため、カイロの中心部を封鎖し、大掛かりな取り締まりを実施した。

9月28日の検察庁の発表では、取り調べを受けたのは1,000人以下だったが、人権派弁護士らは少なくとも2,300人が拘束されたと見ている。拘束された人たちの中には、少なくとも111人の子どもがいる。そのうち少なくとも69人が、「SNSの悪用」などの容疑を受けたが、その子どもたちの多くは、そもそも携帯電話を持っていなかった。

アムネスティは69人中の5人について調べた。3人はカイロ市内で買い物中に、2人はスエズ市内で下校中に拘束されたことがわかった。子どもたちは、大人と同じ部屋に入れられ、家族との連絡は認められなかった。

弁護士、記者、政治家も逮捕

記者10人、政治家や学者ら25人以上も、逮捕された。そのうち少なくとも10人がテロ関連容疑で取り調べを受けた。弁護士も16人が逮捕された。拘束されている人たちを法的に支援するという面で、大きな痛手となった。

外国人は少なくとも7人が逮捕され、エジプト批判で共謀したことを認める自白を強要された。その上、自白の様子を撮った動画がテレビで放送された。

一連の摘発の中で、当局の不正と違法性がとりわけ際立ったのは、仮釈放され保護観察下にある人たちの再逮捕だった。ブロガーの1人は、仮釈放中にデモの動画を投稿したために再逮捕されている。

手あたり次第の職務質問

9月27日に抗議活動が再び起きないよう、警察はカイロとアレクサンドリアの中心部に臨時検問所を設けて、手当たり次第に通行人を止めて職務質問をし、所持品を検査した。そんな中、スマホに政権に批判的なニュースアプリが見つかったとして、1人が逮捕された。眼に余るプライバシーの侵害だ。

少なくとも2,285人が6件の訴訟のいずれかで裁判を受けるが、そのほとんどは、一つの裁判で裁かれることになる。彼らの容疑は「テロ集団の支援」「虚偽情報の流布」「SNSの悪用」「無許可デモへの参加」だ。

複数の取り調べでは、同じ容疑をかけられた数百人もの被疑者がひとまとめで尋問され、勾留を命じられた。

抗議する市民を中傷

抗議が始まって以来、大統領から検察、政府寄りメディアまでがこぞって、抗議する市民を「イスラム原理主義者」や「テロリスト」呼ばわりし、中傷している。また、多くのエジプトの人たちの人権を踏みにじっていることをごまかそうと、アムネスティなど国内外の人権団体を「政治的だ」と非難している。治安部隊に嫌がらせを受けた団体もある。

当局は恣意的な摘発を即刻やめ、表現と集会の自由の権利を行使して逮捕された人たちを速やかに釈放すべきである。また、弁護士、政治家、記者らが、報復や圧力を受けることなく、自由に主張し活動できるようにしなければならない。

アムネスティ国際ニュース
2019年10月2日

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