カタール:新刑法で一層の言論抑圧か

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2020年1月29日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:カタール
トピック:表現の自由

(C) GettyImages
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カタールで公布された改正刑法は、文言があいまいで、当局による広範囲な言論の取り締まりを認めているため、表現の自由が著しく制限されることになる。

カタールは2年前、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)を批准したばかりであるだけに、極めて残念である。

改正法は1月8日にタミーム・ビン・ハマド・アール=サーニー首長によって公布され、19日に全文が官報に掲載された。これまでの刑法に新たな条項が追加されており、追加条項には、「国益を害し、論争を巻き起こし、社会制度を阻害することを意図して、虚偽、あるいは偏った噂・意見・ニュース・宣伝を放送・出版・再版すれば、いかなる場合も投獄する」とある。「偏った」放送や出版には、最大5年の刑と10万リアル(約250万円)以上の罰金刑が科される。

同国が批准した自由権規約の第19条は、情報や意見を求め、受け取り、開示する市民の権利を保証しているが、カタールの法改正は、この国際規約の規定に違反する。

表現の自由を保障するという2年前の約束から大きな後退であり、すでに多数の抑圧的な法律が存在する中で、さらなる表現の自由の制限にもなる。

これ以上、抑圧的な法律を増やさないために、また、国際的な法的義務を順守するためにも、カタールは改正法を撤回すべきである。

背景情報

表現の自由を恣意的に制限するカタールの法律には、印刷出版法や情報技術犯罪撲滅法などがある。

例えば、詩人のモハメド・アル・アジャミさんは2012年、国外に住みながら首長を批判する詩を自宅で朗読したところ、逮捕・収監された(後に恩赦で釈放)。

カタールの人権状況、特に移住労働者の人権では、問題はさらに深刻だ。今年1月半ば、家事労働者が出国する際、雇用者許可を不要とする法改正が発表されたにもかかわらず、内務省は、許可なしに出国した家事労働者には、従来通り罰金などの罰則を加えると発表した。

アムネスティ国際ニュース
2020年1月20日

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