中国:香港警察の暴力 問われぬ責任 不信拡大

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2020年3月25日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:中国
トピック:

(C) AFP/Getty Images
(C) AFP/Getty Images

香港で昨年6月以来続くデモに対する警察の暴力的な対応に対し、当局がまったく説明責任を果たしてこなかったため、香港市民の怒りと不信は増すばかりである。香港政府に対する市民の信頼を回復するには、独立した調査委員会の設置が不可欠である。

警察の行為に対する責任追及・真実究明体制には、重大な問題がある。現行の申し立て制度は機能せず、警察は信頼されていない。

警察の武力行使に対する独立した機関による捜査は、香港市民の要求の一つであり、この要求に呼応する形で昨年10月、国連人権高等弁務官は、「中立の立場で、迅速かつ公正で実効性のある調査を求める」と発言した。

しかし、香港政府は、調査委員会など第三者機関の設置を拒否し、警察の活動を監察する既存の警察苦情処理独立委員会(IPCC)で十分だとする姿勢を崩してこなかった。

そのIPCCは2019年7月、デモの時に発生した暴力事件の捜査の実施を決め、専門委員会を招いた。同年12月、専門委員会は解散にあたり、「香港市民の期待に応えるには、警察の監視役が必要だ」と述べ、IPCCの捜査能力の欠如を指摘した。

政府や警察に対する国民の信頼は地に落ち、残された手段は、第三者機関の設置とその捜査しかない。十分なリソースと捜査能力を持つ調査委員会であれば、警察による大規模な暴力の背景にある根本要因にメスを入れることができる。委員会からの勧告は、暴力の再発を防止し、一部のデモ隊による暴力を含む暴力の連鎖を断ち切る重要な一歩となる。

2019年6月の開始以来、香港を揺るがしてきた大規模な抗議デモは、いまだに収束していない。

警察は、デモ隊に対してゴム弾、ビーンバッグ弾、催涙ガス、催涙スプレー、放水銃などの誤用や過剰な使用を繰り返してきた。無抵抗な人への暴力や拘束中には拷問に等しい暴力もあった。これらの無用あるいは過剰な力の行使が、警察と香港政府に対する市民の怒りに拍車をかけている。

当局は、新型コロナウイルスでデモが収束すると期待を寄せているのかもしれないが、香港政府が市民の不信払しょくに向けた対応を取らない限り、市民による大規模デモは再び起こり、当局による暴力が、また繰り返されるだろう。

香港市内のデモをめぐる暴力の再発を防ぎ、市民の信頼回復を図るには、独立した調査委員会の設置が不可欠である。

アムネスティ国際ニュース
2020年3月5日

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