- 2020年4月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:レバノン
- トピック:
(C)AFP via Getty Images
世界でウイルスが猛威を振るう中、レバノンの移住家事労働者はロックダウン(都市封鎖)により、雇用主から人権侵害を受ける危険性がさらに高まっている。
政府には、移住家事労働者を保護するための緊急対策が求められている。
レバノンはじめ中東諸国特有の労働契約制度であるカファラ制度は、移住労働者の保証人として雇用主に絶対的権限が与えられるため、過酷な強制労働など労働者搾取と虐待の温床となっている。
カファラ制度に縛られ逃げ出せずにいる同国の移住家事労働者およそ25万人が、新型コロナウイルス流行拡大の中で人権侵害はもちろん命の危険にさらされている。
外出自粛は感染拡大予防につながる一方、カファラ制度下の労働者にとっては、雇い主による虐待やいじめを受ける危険性が高まる。
社会から疎外されている移住家事労働者に対して、政府は直ちに保護対策を取らなければならない。また、雇い主には、家事労働者への人権侵害は、摘発の対象となることをはっきり警告すべきである。
移住家事労働者に対する虐待・搾取は、極端な長時間労働、無休、給料の減額・不払い、通話やインターネットの制限、食事を与えないなど、枚挙にいとまがない。
労働省は、外国人家事労働者が、苦情申し立てができる窓口を設置し、その開設を彼らに周知することが必要である。
非正規移民家事労働者
労働ビザを持たない家事労働者は数千人いるが、無認可のまま働き続けるか、収容センターに入れられて、強制送還を待つか、どちらかの選択肢しかない。
ビザがなければ、医療などのサービスを受けることは難しい。保健省は、非正規移民を含む移住家事労働者が置かれている状況を理解し、彼らの感染予防、検査、感染後の対応などで支援すべきである。
背景情報
アムネスティは昨年、現地での聞き取り調査などで、強制労働から人身売買までカファラ制度が抱える問題を確認し報告書にまとめた。
今年3月、アムネスティは、レバノンの「家事労働者のための標準統一雇用契約規定」改正の協議に参加し、提言する機会があった。労働省に対して、カファラ制度下で雇用主と労働者間に明らかな不平等性が存在し、雇用主が労働者を支配している問題に対応した要件を改正案に盛り込む必要性を強調した。
アムネスティ国際ニュース
2020年4月14日
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